研究課題/領域番号 |
05453071
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
分離・精製・検出法
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
田端 正明 佐賀大学, 理工学部, 教授 (40039285)
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研究分担者 |
西本 潤 佐賀大学, 理工学部, 助手 (80253582)
早下 隆士 佐賀大学, 理工学部, 助教授 (70183564)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
7,400千円 (直接経費: 7,400千円)
1994年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1993年度: 5,300千円 (直接経費: 5,300千円)
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キーワード | ポルフィリン / 大環状配位子 / フッ化物イオン / 亜鉛 / サフィリン / 蛍光分析法 / イオン対生成速度 |
研究概要 |
ピロールを5つ持つ大環状ポルフィリンのひとつであるサフィリン(H_3sap)を合成し、陰イオンおよび金属イオンとの反応性とそれらのイオンの新しい分析法を研究した。微量のフッ化物イオンと反応し蛍光強度の増大をもたらすので、ppbのレベルフッ化物イオンを定量することができた。この分析法の反応系には金属イオンが含まれていないので、鉄やアルミニウムが多量共存する試料でも、キレート剤の添加によりフッ化物イオンのみを精度よく測定することができた。本分析法を地下水、雨水、河川水及び温泉水中のフッ化物イオンの分析に応用した。この分析法は感度および妨害オンの少なさの点から最高の分析試薬であることが分かった。 フッ化物イオンとの反応機構をストップトフロー法で解析した。生成速度は(1.53±0.03)x10^7mol^<-1>dm^3s^<-1>,であり通常の拡散律速のイオン対生成反応に比べて約1000倍遅いことが分かった。これはポルフィリンの歪みが重要な原因であると考えられる。一方亜鉛イオンとの反応は(1.18±0.02)x10^5mol^<-1>dm^3s-1であり、ポルフィリン類の環状配位子の中では最も早い速度定数である。しかし、亜鉛イオンの水分子交換反応に比べて100倍遅い。ピロールを4個持つポルフィリンに比べて反応は約1000倍速い。化学平衡の研究の結果、亜鉛錯体は水素3分子から2個が解離した中性分子であることが明らかとなった。 更に、フッ化物イオンとのイオン対は酸性でクロロホルムに抽出されることを見出した。抽出化学種は[H_4sap^+.F^-]であることが抽出のpH依存性から明らかとなった。抽出錯体も蛍光強度の増大をもたらすので、先の水溶液中でのフッ化物の分析法に比べて一層選択性と感度の向上をもたらすことができた。このように、拡張ポルフィリンの特異的化学的特性が明らかとなり、新しい分析法の確立へと展開しつつある。
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