研究概要 |
「ラングミュアー・ブロジェット膜」作製法を利用することによって,高次配向構造をもつ有機・無機ナノ複合体の合成できる可能性を,種々の有機分子などとの組み合わせから検討した。また,極限構造の構築によって光機能などの物性の設計できる可能性を探ることに関する,「ラングミュアー・ブロジェト膜」作製法は,インターカレーション法とは異なり,調製条件の設計・制御により,高次な極性構造をもつ有機・無機複合超組織薄膜を実現できるものである。無機物として粘土鉱物を対象に無機と有機との複合化に初めてラングミュアー・ブロジェット膜作製法の有効性を明らかにした。粘土の凝集状態の特異性や層構造の示す「水和膨潤性」を利用して,超音波による物理的撹拌などの操作により,(1)粘土の積層する二次元層骨格を完全にばらばらの状態に剥離し,純水中に分散させた下層溶液を作成,(2)この溶液表面にステアリルアミンなどの棒状単分子を広げ,次いでこれをバリアで圧縮し,疎水基を上部に向けた単分子膜を形成する。つまり,下層溶液の界面にはステアリルアミンの親水基が接し,ここに同溶液内に分散している粘土単位層が静電力によって吸着する形を実現する。(3)この状態で,有機物と無機物とがナノオーダーで積層し,かつこれを繰り返すと粘土とステアリルアミンとが数十層まで累積できることを世界で初めて明らかにした。
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