研究概要 |
1.水溶性高分子であるポリビニルピロリドンの存在下,パラジウム,白金,金などの貴金属イオンのうちの2種のイオンのアルコール/水(1/1)混合溶液を加熱還流することにより、一方の金属種が核に,他方が表面に選択的に存在する構造を採る“コアーシェル"構造の複合金属クラスターを調製することができる。 2.高分子保護複合金属クラスター分散液の生成の過程を,マルチチャンネルフォトダイオードアレイで追跡したところ,金属の還元順序は,その配化還元電位で規定されていることが明らかとなった。また,2種の金属イオンの混合溶液系では,より還元されやすい金属種が,電子伝達体となって,全体の還元速度を速めるという興味ある機構も,明らかにすることができた。 3.複合金属クラスターでは,“クラスター内クラスター"構造をとる場合がしばしば生じることがあり,この場合,“マイクロクラスター"とも言うべき“微小核"の存在が重要であることが明らかとなった。 4.複合金属クラスターの構造制御に,添加した高分子が配位子として関わっていることが明らかとなった。さらに配位子として,トリフェニルホスフインや0-フェナントロリンも,貴金属クラスターの安定化に寄与している。 5.従来困難とされていた,軽遷移金属-貴金属系の複合金属クラスターの合成を,銅/パラジウム系および銅/白金系について成功した。この方法は,複合金属水酸化物超微粒子を作製後,ポリオール法で還元して合成するもので,一般性を有する新しい合成法である。こうして得た複合金属クラスターが,混合物ではなく合金クラスターで,触媒としても高活性であることを明らかにした。
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