研究概要 |
1.プロクターゼAについて種々の特異的化学修飾試薬を用い機能残基の検索を行った。この結果、カルボキシル基の修飾によってのみ酵素は失活し、他の残基(ヒスチジン,リシン,トリプトファンなど)は活性発現に直接関与しないことが明らかになった。部位特異的変異導入法により、主要なAspおよびGluをAsn,Glnに変換した結果,重鎖のAsp14およびAsp111が触媒基である可能性が示唆された。 2.プロクターゼBのcDNAをクローニングし、塩基配列決定により全一次構造を推定した。また、大腸菌およびB.brevisによる発現分泌系を確立し、その前駆体が酸性条件下で自己触媒的に活性化することを示すとともに,部位特異的変異導入法によりプロペプチドの36位リシンがプロ体の構造安定化に,また32位アルギニンが活性化に重要であることを明らかにした。 3.プロクターゼAの大腸菌による発現系を確立し、酸性条件下でプロクターゼBと同様、自己触媒的に活性化することを示し、活性化様式を解析した。 4.プロクターゼAのpHおよび熱変性特性をNMR,CDなど種々の方法で比較解析し、その変性特性を明らかにした。 5.プロクターゼAの軽鎖のNMR解析により、プロトンの全シグナルの帰属を行い、立体構造を推定した。また、クロコウジカビによる異種核置換体の調製法を確立し、多次元NMRによる立体構造解析を進めた。 6.プロクターゼAの基質特異性を酸化インシュリンB鎖等を基質にして詳細に解析し、ユニークな特異性を明らかにした。また、阻害性ペプチドとの相互作用をNMR法により解析した。 7.プロクターゼAの重金属(Pt,Hg)置換体の結晶化を行い,X線結晶構造解析を行い、立体構造解明を進めた。
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