研究概要 |
ペプチドホルモン受容体の発現調節を,ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH),ゴナドトロピン(LHとFSH),プロラクチンを主な対象として調べ,以下のような成果を得た。 (1)下垂体原基のラトケ嚢を器官培養すると,ゴナドトロピン産生細胞は特別の刺激なしでも自動的に分化する。しかし,GnRHを添加すると,胎児期に発現している受容体を介してLH細胞数の増大をもたらす。さらに追究するためにGnRH受容体cDNAの塩基配列を決定し,ついで,下垂体における受容体発現を検討し,論文として公表した。GnRH受容体mRNAは卵巣,精巣,副腎皮質でも発現していた。 (2)ゴナドトロピン受容体については,野生鳥類における光環境の影響に関して調べた。ついで,鳥類LH受容体のN末端領域をコードするcDNAの塩基配列を決定し,他動物種との比較から,保存性の高いcDNA部分は受容体分子の高次構造とリガンドとの特異的結合に重要なことを推論した。LH受容体の細胞膜外領域に対するモノクロン抗体を作成し,現在エピトープの同定が進行中である。 (3)プロラクチン受容体については,プロラクチンによるマウス子宮腺筋症の発症促進との関係で調べた。プロラクチンの作用は子宮や乳腺だけでなく広範であるが,われわれは膵外分泌腺・内分泌腺の肥大をもたらす現象を発見し報告した。膵臓におけるプロラクチン受容体の検索は進行中である。 (4)その他,加齢に伴う腎機能の変化について各種パラメータについて測定した。また、視床下部ニューロンの性分化やニューロンの老化指標に対する活性酸素の影響の培養系での研究を行い,口頭発表をした。
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