研究概要 |
1.キクとトルコギキョウの窒素施肥基準曲線の作製 湛液連続通気式の水耕装置を用いて、培養液の無機要素を濃度維持法で管理しながら養液栽培を行い、1週間毎に窒素吸収量を測定し、窒素吸収曲線を作成した。同時に、植物体を非破壊で連続測定し、生長曲線を作成し、この二の曲線を相互修正して、良品質の切り花を生産できる窒素施肥基準曲線を作成し、それを回帰法(多次多項式)で表した。この曲線は、キクでは輪ギクタイプの‘精雲'夏切りと‘秀芳の力'秋切りの2作型について、トルコギキョウでは年間を通じて2作型に集約させて作成した。 2.NFT方式の養液栽培装置を用いたキクの窒素施肥基準曲線の検証栽培 キクについて、実用的な養液栽培方式であるNFTによって、これらの曲線と用いた実証栽培を行ったところ、良品質な切り花が生産できたので、これらの曲線は実用性があることを確かめ得た。また、これらの栽培を通じて、窒素以外の多量要素の施用方法も検討し、窒素施肥基準曲線に沿って窒素を施用していく際の、窒素量に対するP,K,Ca,Mgの適正な施用割合を明らかにし、同時に、高品質な切り花を得るための、多量要素の必要最低量を明らかにした。また、この方法はスプレーギクにも適用できることが分かった。 3.トルコギキョウの窒素施肥曲線の検証栽培 キクと同様にしてトルコギキョウの施肥曲線の検証栽培を行ったが、一部を除いて栽培に成功しなかったので、この栽培法を完成させるためには、栽培装置も含めて再検討したいと考えている。 4.施肥曲線を用いたパソコン制御による自動施肥装置の作成 この培養液管理法はマニュアルで行うと煩雑なため、施肥曲線の関数式を用いてパソコンによる自動施肥装置と対応するソフトを作成した。しかし、全栽培期間に亘って完全自動制御にすると、予期しない環境や生育状況の変化に対応できない場合があることが分かったので、栽培者の判断も加えることが出来るように半自動で作動させるように、システムおよびソフトを再検討中である。
|