配分額 *注記 |
6,800千円 (直接経費: 6,800千円)
1995年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1994年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1993年度: 4,800千円 (直接経費: 4,800千円)
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研究概要 |
植物ウイルスと宿主植物の相互関係を明らかにし,植物ウイルス病制御法の確立に資するための生物学的ならびに分子生物学的研究を行い,以下の知見を得た。 1)ウイルス-宿主の相互関係に関する分子生物学的解析のための効率的なモデル実験系を開発する目的から,近年注目を集めているアブラナ科の雑草Arabidopsis thalianaに着目し,ウイルス実験に適した栽培法ならびにエコタイプの選択,キュウリモザイクウイルス(CMV)との組み合わせによる接種方法・条件の検討を行い,目的の実験系を確立した。さらに,Agrobacterium tumefaciensのTiプラスミドの転移領域でtaggingされたA.thaliana種の実生を材料としてCMVを接種し,CMV感染に関する変異株のスクリーニングを行った。これまでに5,000個体以上を供試したが,変異株を得るに至らなかった。 2)ダイコンから分離したCMVアブラナ科系の1系統(CMV-D8)は,定量的ならびに組織化学的検討により他のCMV系統に比較してダイコンにおける効率よい感染・増殖が可能であることが判明した。このような植物ウイルスの宿主特異性の分子生物学的機序を明らかにするため,CMV-D8の全ゲノムRNAのクローニングを行い,生物活性を有する転写RNAの試験管内合成系を確立した。転写RNAを組み合わせた種々のpseudorecombinantsを調製してダイコンに接種し,tissue print法によってウイルスの増殖を組織学的に検定した結果,CMV-D8のダイコンにおける効率的な感染・増殖を支配する遺伝情報はRNA2とRNA3に存在し,しかも両者が同時に機能することが必要であると結論された。
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