研究分担者 |
江口 壽彦 九州大学, 生物環境調節研究センター, 助手 (40213540)
吉田 敏 九州大学, 生物環境調節研究センター, 助手 (90191585)
北野 雅治 九州大学, 生物環境調節研究センター, 助教授 (30153109)
筑紫 二郎 九州大学, 生物環境調節研究センター, 助教授 (00127458)
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配分額 *注記 |
5,300千円 (直接経費: 5,300千円)
1995年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1994年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1993年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
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研究概要 |
本研究では,植物生産に密接に関与する植物環境反応の情報を総合的に集積するために,植物個体(キュウリおよびサツマイモ植物)を対象にして,植物水プロセス,根の生理機能および光合成産物の転流と貯蔵に対する地上部と地下部の環境の作用を解析した.植物水プロセスに関する研究では,植物に対する環境側からの蒸散要求度(ED)とその影響力を評価するインパクト係数(Imp)を定義するとともに,EDの制御法を確立した.そして,EDとImpの変化によって,植物水収支の不均衡が生じ,吸水,蒸散,気孔運動,葉の生長が変動すること,およびEDが低い条件では,乾物生産が増大し,水利用効率が上昇することを明らかにし,EDとImpの評価と操作の有効性を示唆した。根の生理機能に関する研究では,根の呼吸と吸水をオンラインで計測できる水耕システムと,根への酸素の動態を把握するための^<18>Oトレーサー法を確立して,地上部と地下部の酸素濃度が根の呼吸を通して吸水に影響すること,および地上部環境の酸素が低溶存酸素濃度下の根の呼吸に用いられることを実証した.そして,植物生産場面において地上部環境条件を考慮した,水耕液の溶存酸素濃度の最適化が必要であることを示唆した.光合成産物の転流と貯蔵に関する研究では,サツマイモ植物におけるシンク-ソース関係に対する環境作用を解析した.地上部と地下部の環境を個別に制御できるシステムおよびシンク器官としての塊根と呼吸器官としての細根を完全に機能分化させる気水二相式水耕システムを新たに開発し,塊根のシンク能に対する最適温湿度条件を明らかにした.本研究で新たに確立された種々の方法(計測法,制御法および栽培法)を応用して,植物-環境系の物質輸送および各器官の生理機能の相互作用に関する定量的情報をさらに蓄積することによって、植物生産環境の最適化のためのロジックの構築が可能になるものと考えられる.
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