配分額 *注記 |
6,100千円 (直接経費: 6,100千円)
1995年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1994年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1993年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
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研究概要 |
本研究においては,ラットを用いて電気生理学的手法によりエストロジェン受容脳領域を特定し、そのような脳領域において新生期あるいは排卵期にエストロジェンにより特異的に転写活性の高まる遺伝子をサブトラクティブcDNAクローニング法により検出することにより、エストロジェン受容ニューロンの分化,あるいはGnRHニューロン興奮性の制御に関わる遺伝子及び遺伝子産物を同定することを目的とした.その結果,新生期ラットおよび成熟ラットそれぞれにおいてエストロジェンにより特異的に発現の高まるクローンを得ることができた.それぞれの塩基配列を決定したところ,前者は上皮系の細胞成長因子,後者は核内転写調節因子に属する遺伝子であることが明らかとなった.前者についてはさらにin situハイブリダイゼーションを行った結果,視床下部の腹内側核に特異的に発現する遺伝子であることが明らかとなった.これらの結果より,新生期においてはアンドロジェンより代謝されたエストロジェンにより腹内側核から上皮系細胞成長因子が放出され,脳の性分化に関与し,一方成熟動物においてはエストロジェンにより核内転写調節因子の発現が高まり,これにより誘導される遺伝子によりGnRHニューロンの興奮や性行動が誘起されることが示唆された.これらの研究は,エストロジェンの中枢作用機序の解明に大きく寄与するものと考えられる.
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