研究課題/領域番号 |
05454122
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用獣医学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
前出 吉光 北海道大学, 獣医学部, 教授 (40002084)
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研究分担者 |
稲葉 睦 東京大学, 農学部, 助教授 (00183179)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
6,600千円 (直接経費: 6,600千円)
1994年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1993年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
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キーワード | ピロプラズマ / バベシア / 赤血球 / 貧血 / イヌ |
研究概要 |
家畜ピロプラズマ症では原虫の赤血球寄生率が低いにも関わらず、高度の溶血性貧血が発生することから、原虫非寄生赤血球も何らかの障害をきたしていることが推測される。そこで本研究ではイヌのピロプラズマ症(Babesia gibsoni感染症)について、感染犬赤血球の変化及び病態の解明を試みた。 1.原虫非寄生赤血球の生化学的変化 原虫低寄生率でありながら高度の貧血を呈する慢性感染犬について、赤血球膜の生化学的分析を行った。その結果、感染犬赤血球は非感染犬赤血球よりも膜脂質含量が高く、さらに膜骨格蛋白質であるバンド4.1の構成異常が認められた。 2.原虫非寄生赤血球の酸化障害 (1)Babesia gibsoni原虫感染に伴う被感染犬赤血球及び同原虫の体外培養に伴う原虫非寄生赤血球の酸化還元能の変化を検討した。その結果、感染犬赤血球のメトヘモグロビン(metHb)濃度は原虫寄生率の上昇とともに増加がみられた。同様に、原虫の体外培養においても、原虫増殖とともに培養赤血球のmetHb及び過酸化脂質が増加した。 (2)B.gibsoni原虫感染犬では、原虫寄生率が低い感染初期において、赤血球の酸化剤に対する抵抗性(酸化還元能)が著しく低下していた。 B.gibsoni原虫感染に伴う血小板凝集の変化 B.gibsoniの培養上清を用いて、ADP刺激によるイヌ血小板の凝集反応を測定したところ、培養上清添加により血小板凝集が増強された。この培養上清中に出現する血小板凝集促進因子は分子量30,000以上の蛋白質であることが判明した。この成績から、感染犬では血小板凝集の亢進のために血中の血小板が減少するものと考えられた。 以上の成績から、ピロプラズマ感染動物では原虫非寄生赤血球にも酸化障害が生じていること、ならびに同原虫の増殖により血小板凝集促進因子が産生されることが明らかとなっった。これらの現象がピロプラズマ症の病態、特に貧血発生に深く関与していることが推察された。
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