研究概要 |
胃プロトンポンプは胃酸分泌機構の最終段階に位置するポンプである。この酵素にはポンプ機能以外に、塩素イオンチャンネル機能も併せて存在することを1987年我々は発見した。即ち、ポンプとチャンネルの機能が同一分子内に存在する系を発見した。他方多剤薬物排除ポンプにおいて、1992年ポンプと塩素イオンチャネルが同一分子内にあることが英国の学者より発見された。 平成5年度においては我々は多剤薬物排除ポンプの機能を正常細胞で観察しうる細胞系を立案した(Transplantation,1983)。またポンプのコンフォメションに与える影響が阻害剤の微妙な構造の違いにより異なることをはじめて明らかにした。(J.Boil.Chem.1993).平成6年度においては胃プロトンポンプの細胞内輸送に与える阻害剤の影響(Biochemical Pharmacology,1994)やこのポンプの膜内におけるトポロジーに関する論文(Biochemical J.,1994)や腸型と胃型のポンプを区別しうるモノクローナル抗体を開発した結果(J.Biochemistry,1994)を発表した。 また胃プロトンポンプの構造と機能の研究を分子レベルで行うために、胃H^+,K^+-ATPaseのαおよびβサブユニットの遺伝子を分取し、細胞系に発現させることを試み成功した。今後培養細胞系で、ポンプの機能と塩素イオンチャネルの関係を種々の角度から検討することが可能になった。
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