研究課題/領域番号 |
05454157
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
医化学一般
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
祖父江 憲治 大阪大学, 医学部, 教授 (20112047)
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研究分担者 |
林 謙一郎 大阪大学, 医学部, 助手 (90238105)
乾 誠 大阪大学, 医学部, 助教授 (70223237)
田中 潤也 大阪大学, 医学部, 助手 (70217040)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
8,000千円 (直接経費: 8,000千円)
1994年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1993年度: 6,300千円 (直接経費: 6,300千円)
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キーワード | 平滑筋細胞 / 平滑筋細胞形質転換 / アクチン-ミオシン相互作用 / カルデスモン / 遺伝子構造 / スプライシング / プロモーター / 転写制御 / 接着因子 / 平滑筋細胞分化 / アクトミオシン系制御 / エンハンサー |
研究概要 |
本研究は平滑筋及び非筋細胞に広範に分布するアクトミオシン系調節蛋白質であるカルデスモン(CaD)の平滑筋細胞の形質転換(分化・脱分化)に伴う高分子型(h-CaD)と低分子型(l-CaD)のアイソフォーム間での発現変換と発現量の変化を指標として、初代平滑筋細胞を用いた分化型形質維持システムを確立し、平滑筋細胞分化誘導のメカニズムを解析することを目的として行った。、まず我々は遺伝子レベルでCaDの発現を解析するため、CaD遺伝子構造を解析した。この結果、CaD遺伝子は全長約150kbのシングルコピー遺伝子で、h-及びl-CaDの発現はエクソン3内に存在する2ヵ所の5′-スプライス部位の選択様式に依存するというユニークなスプライシングによることを明かにした。さらに、プロモーター領域の同定も行った。また、初代平滑筋細胞の培養条件に検討を加えた結果、α1β1インテグリンを介した細胞内情1伝達系が平滑筋細胞の脱分化を抑制し、分化型形質を維持させることを見い出した。この培養条件下ではh-CaDのみならず高分子型トロポミオシン、及びメタビンキュリン等の分化型平滑筋細胞の分子指標となる蛋白質の発現が認められた。また、分化した平滑筋細胞の接着構造(デンスメンブレン)にα1β1インテグリンが局在することを見だし、これらの遺伝子群がα1β1インテグリンを介した細胞内情報伝達系のコントロール下で発現制御されている可能性が示唆された。さらに、この培養システムを用いて、平滑筋細胞におけるCaD遺伝子の転写調節機構の解析を行った。CaDプロモーターの転写活性平は分化型滑筋細胞において極めて高く、脱分化型平滑筋細胞では前者の70〜40%程度に低下した。また、骨格筋細胞由来のC2C12細胞及びHeLa細胞での転写活性は極低いものであった。これらの結果はそれぞれの細胞でのCaD蛋白質の発現量と一致しており、CaD組織特異的な発現は転写レベルで制御されていることが明らかになった。この平滑筋特異的な転写促進は転写開始部位の上流一309〜一300に位置するCArGbox様配列(CCAAAAAAGG)に依存しており、この配列と前後6bpを含む配列、CArG1と特異的に結合する核蛋白質が平滑筋細胞核抽出液中に存在することを見出した。以上の結果、このCArGbox様配列はCaDの平滑筋特異的な発現を制御している唯一のシス因子であることが明かになった。
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