研究課題/領域番号 |
05454177
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
実験病理学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
吉木 敬 北海道大学, 医学部, 教授 (60220612)
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研究分担者 |
池田 仁 北海道大学, 医学部, 助手 (20232192)
富樫 武弘 北海道大学, 医学部, 助教授 (70001930)
笠井 憲雪 北海道大学, 医学部, 助教授 (60001947)
脇坂 明美 北海道大学, 医学部, 助教授 (90113646)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
6,600千円 (直接経費: 6,600千円)
1993年度: 6,600千円 (直接経費: 6,600千円)
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キーワード | HTLV-I / ラット / HAM / TSP / アポトーシス / 脱髄 / サイトカイン / Nitrogen Oxide |
研究概要 |
HTLV-Iの持続感染WKAH系ラットに発症するHAM/TSP類似脊髄病変“HAMラット病"について、HTLV-I感染から発症に至るまで経時的に観察を行ない以下の結果を得た。 1)感染後12ケ月頃より胸髄レベルを主体として両側白質辺縁帯に対称性に脱髄、マクロファージの浸潤、空胞変性、髄鞘再生像、グリオーシス等が見られた。この病変は緩徐進行性に増強され、発症に至ると想定された。病変部には全経過を通じてリンパ球の浸潤はなく、またC型ウイルス粒子は確認されなかった。後肢末梢神経においても脊髄での病変とよく類似していた。また病変部に一致して形態学的に乏突起膠細胞やシュワン細胞のアポトーシスによる細胞死が観察された。これを確認するため同部位についてTUNEL法にて検索し、アポトーシスに特有な核内DNAの断片化が証明された。 2)脊髄病変局所組織切片でのin situ hybridization法及び抗HTLV-I抗体による免疫染色法で検索したが、発現は確認出来なかった。 3)HAMラット病変局所から抽出されたRNAを利用し、RT-PCR法によるサイトカイン発現を検討し、TNFα、IL-1α、IL-6の発現を認めた。またこの部位ではiNOSが誘導されていることが確認された。 これらの成績から“HAMラット病"の発症機序は免疫学的な直接侵襲によるものではなく、ウイルスの直接的あるいは間接的侵襲によってある種のサイトカインやNOの産生が増加され、これが乏突起膠細胞やシュワン細胞のアポトーシスを惹起して脱髄を起こものと推定された。
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