研究課題/領域番号 |
05454227
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
公衆衛生学・健康科学
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
吉澤 浩司 広島大学, 医学部, 教授 (30109954)
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研究分担者 |
荻野 武雄 広島市衛生研究所, 所長 (40041850)
守屋 尚 広島大学, 医学部, 助手 (40243563)
中西 敏夫 広島大学, 医学部, 講師 (20136089)
田中 純子 広島大学, 医学部, 助手 (70155266)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
6,400千円 (直接経費: 6,400千円)
1994年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
1993年度: 3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
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キーワード | C型肝炎ウイルス(HCV) / Polymerase chain reaction(PCR) / HCV Genotype / HCV抗体 / HCVキャリア / 水平感染 / 垂直感染 / HCV関連抗体 / 新規発生率 / C型慢性肝炎 / polymerase chain reacion(PCR) / Genotype / branched DNA probe assay / RIBA-2 |
研究概要 |
【研究目的】本研究は、慢性肝疾患群(慢性肝炎、肝硬変、肝癌)死亡が全国で上位を占める広島県において、これらの疾患とHBVおよびHCVの持続感染との関連を明らかにしようとするものである。 【研究方法および成果】1.HCVマーカー検出・測定系の標準化と評価:polymerase chain reaction法(PCR法)によるHCV RNAの検出法、HCV遺伝子型決定法の標準化を行い、第二世代のHCV抗体検出系(HCV PHA法)が最も適切な免疫血清学的測定系であることを明らかにした。HCV抗体価が2^<12>価以上の高い値を示す場合にはHCVが血中に存在すると判定してよいことを明らかにした。2.慢性肝疾患死亡とHBV・HCV持続感染の関連:人口動態統計資料から県内の行政地区ごとの慢性肝疾患による死亡のSMRを求め、また、県内の供血者集団の資料を基にHBs抗原・HCV抗体陽性率を求めマップを作製し対比を行った。SMRは県東部、瀬戸内沿岸部、広島市域で高いこと、HBs抗原・HCV抗体陽性率は県東部、沿岸部で高く広島市域ではこれらのウイルスキャリア率は高い値を示さないことが明らかとなった。両者が必ずしも一致しないことについては今後両者を出生年別コホートに分けて詳細に検討する予定である。3.自覚症状を伴わないHCVキャリアの病像:献血を契機に発見されたHCVキャリアを県内の19の病院の肝臓病専門医の許に紹介し、その病像の把握を試みた。その結果、(1)66%(527/799)の人が慢性肝炎と診断されていた。(2)肝硬変6例、肝癌1例が見出された。(3)当初「異常」を認めなかったHCVキャリア集団について2〜3カ月に1回の頻度で追跡検査を行った結果、約50%の人が2年間に肝障害(S-GPT40IU以上の値)を発現することが明らかとなった。背景因子ごとにみると、肝障害の発現率は低年令層、男性、初診時のS-GPT値が正常域の上限に近い群、HCV GenotypeIV型の群で高いことが明らかになりつつある。(4)6ヵ月以上の追跡期間内に肝障害を認めなかった21例についての組織診断を行い、ほぼ正常な組織像を示したものは2例に過ぎなかった。4.HCV感染の疫学:水平感染については、C型慢性肝疾患患者の配偶者が同時にHCVキャリアである頻度は14%(21/150)程度に止まることが明らかになった(夫婦間感染)。また献血を契機に発見された調査では夫婦が共にHCVキャリアであった例は9.8%(5/51)であり、この場合もHCV genotypeはわが国に最も多い型が大半(4/5)を占めた。一方、2年間に複数回献血をした80,530人の供血者を対象としたHCVキャリアの新規発生率に関する調査では、新規発生は1例もみない成績が得られた。垂直感染については、自覚症状を伴わない妊婦から出生した児を対象としたprospective studyから感染成立の頻度は2.3%(2/87)程度に止まることが明らかとなった。
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