配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
1995年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1994年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1993年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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研究概要 |
近年,花粉症,特に杉花粉によるアレルギー性鼻炎の増加が指摘されており,その発症要因についても,杉花粉の飛散数の増加によるだけでなく種々の要因,なかでも大気汚染の関与の可能性が指摘されている。 本研究は,杉花粉症の発症要因を明らかにするために,大気汚染度の異なる地域(都市:大阪市内,近郊都市:大阪府下,農村:宮崎県)の10小学校の学童4,100名を対象に,アレルギーに関する症状調査,血清中の非特異的IgE抗体・杉特異的IgE抗体の検査及び核地域の杉花粉飛散量の測定等を行い,次のような結果を得た。 1)調査票の回収数は4,055人(99.8%),血液検査実施数は3,015人(74.4%)であり,回収率,検査率とも学校間に差がみられなかった。 2)アレルギー性鼻炎症状を有する者のうち10.0%は喘息症状を有している。喘息患者が鼻アレルギー症状を有することはよく知られている。そこで喘息症状を有するものの鼻炎症状は喘息の随伴症状と考えこれを除いた鼻アレルギー有症率は大気汚染濃度が中程度の大阪府下が32.9%と最も高く,次いで大気汚染度の高い大阪市内が28.3%,大気汚染度が軽度の宮崎で24.7%と最も低値であった。 3)杉特異的IgE抗体陽性率は大阪府下学童で24.8%,大阪市内で17.1%,宮崎県で16.1%と杉花粉飛散数の多い大阪府下(717.0個/cm^2)で最も高率であったが,飛散量の少ない大阪市内(134.3個/cm^2)の方が宮崎県(475.6個/cm^2)より高率であった。 4)鼻アレルギーの発症はI型アレルギーによると考えられていることにより,喘息患者を除き鼻アレルギー症状があり,かつ杉特異的IgE抗体が陽性であるものを杉花粉に基因する鼻アレルギー有症者とすると,その有症率は大阪府下で11.5%,阪市内で7.1%,国富町で6.0%であった。 5)鼻アレルギー症状有症率,杉抗原による感作率(抗体陽性率)及び杉花粉に基因する鼻アレルギー有症率を左右する主たる要因は杉花粉の飛散数であり,大気汚染は発症を助長する(修飾)因子であることを明らかにすることが出来た。
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