研究分担者 |
西村 敏博 大分大学, 工学部, 助手 (70117406)
宇多 弘次 香川医科大学, 副学長 (80107044)
阪本 晴彦 香川医科大学, 医学部, 教授 (60106549)
森田 久樹 香川医科大学, 医学部・附属病院, 講師 (70145051)
松尾 裕英 香川医科大学, 医学部, 教授 (90028514)
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研究概要 |
本研究の目的は音響特性及び弾性特性から心筋viabilityを評価し得るかどうか検討することであり,平成6年度は超音波顕微鏡を用いて,viabilityを有する心筋組織としてstunned myocardiumを対象に音響特性及び弾性特性の検討を行った。 虚血心筋モデル作成動物として,麻酔開胸犬の前下行枝15分間閉塞後に閉塞を解除し,再潅流後1時間放置し血行動態が安定した状態で心臓を摘出し、心筋ホルマリン固体標本を作成した。これをstunned myocardiumのモデルと考えた。心筋虚血は心内膜側から心外膜側へと拡がることが予想されるため,心内膜側,心外膜側,その中間の3層に区分し,光学顕微鏡像および超音波顕微鏡像による心筋微細構造を検討した上で,音速,超音波減衰量などの音響学的特性の評価を行った。 1.心筋の微細構造の検討:光学顕微鏡像,超音波顕微鏡像ともにstunned myocardiumと正常心筋の間に差異は認めなかった。電子顕微鏡像ではstunned myocardiumにおいては筋小胞体やミトコンドリアの部分的浮腫,細胞内浮腫,グリコーゲン顆粒の枯渇が認められた。 2.音響学的特性の評価:音速はstunned myocardiumと考えられる心内膜側心筋で1656【+-】36m/s,正常の心内膜側心筋で1657【+-】8m/sと有意差を認めなかった。よってstunned myocardiumに生じる電子顕微鏡像上の心筋微細構造の変化では,音響学的特性に変化を生じない可能性が示唆された。そこで超音波スペクトロメトリーの手法により,心筋組成の音響指標への影響の検討を併せて進めている。 3.弾性特性の評価:Acoustic cover membraneを用いて試料心筋の体積弾性率,密度を計測した。 また凍結切片試料,次に培養心筋細胞での心筋虚血,心筋viabilityの検討を進めるため試料支持装置を新たに作成中である。ホルマリン固定標本と凍結標本との対比検討をさらに進め,これまでの予備検討で得ている両者の関係を確実なものとし,かつ培養心筋細胞におけるdynamicな組織性状検討が可能なようにcell-box型の特殊試料台の完成を急ぐ予定である。
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