配分額 *注記 |
5,100千円 (直接経費: 5,100千円)
1995年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1994年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1993年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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研究概要 |
我々はキンドリングモデルを用いて小脳歯状核が大脳の神経系可塑性にどのように関連するか検索した。ネコを用いて一側歯状核を破壊した破壊群と対照群でキンドリング発展過程、後放電の持続時間、自発性棘波の数を比較検討した。その結果,小脳機能が健全であった対照群より一側歯状核破壊群で棘波の出現が早く多いがその後むしろ減少し,キンドリングの後半では対照群より少なくなるという結果を示す。歯状核破壊群の二次側海馬ではむしろ棘波数が増大した。小脳機能の健全でない場合二次焦点形成が促進される結果となった。小脳の抑制系の一部である歯状核が損傷されているとより全般化に至りやすく,二次的てんかん原性病変を作りやすいという結果となった。この結果は小脳が大脳皮質での焦点形成に強く関わっていることを示唆する。 扁桃核キンドリングの際の両側腹側海馬内の細胞外液中のグルタメートはキンドリング発作時にその発展過程と一致して放出が増大する。発作後数分-10分後には基礎値に戻る。第2-3段階では左右共,基礎値の約3.5倍に上昇し,刺激後1分から3分まで有意な上昇を示した。第5段階では約5倍に上昇していた。GABAはこれに対して発作後緩やかに上昇し数時間にわたってその変化は持続し,GABAレベルは第3段階で基準値の1.5倍で,第5段階では2.5倍になっていた。初期の段階では次の刺激前には基準値に復するが,後半になるともはや基準値に復さなくなった。これらのグルタメートの放出の増大とGABAの変化は,てんかん原性ならびにけいれん準備性に,本質的に関わっていると見做しうる。GABAの増大は歯状回などの入力部での抑制の増強をもたらし,結果的に海馬歯状回の顆粒細胞は低活動性の状態であり,出力部での異常なグルタメートの放出は一旦興奮が生じた場合のフィードバックの欠如を来たし,両者が相俟って過同期性に関与するものと考えられる。
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