研究概要 |
本研究はハロセン-エピネフリン不整脈に対して中枢性のイミダゾリン受容体が及ぼす作用を検討中であるが,現在までの概要は以下の様である 1-α2リセプター作動薬であるデクスメデトミジンが中枢性の機序によりハロセン-エピネフリン不整脈を抑制することが知られている(Anesthesilogy 1991)。しかしながらデクスメデトミジンは弱いながらもイミダゾリン受容体に親和性を持つためデクスメデトミジンの抗不整脈作用におけるイミダゾリン受容体の関与を検討した.雑種成犬を用いてイミダゾリン環を持つα2拮抗薬(イダゾキサン,アティバメゾール)あるいは持たないα2拮抗薬(L-659066,ラワルジン)がデクスメデトミジンの抗不整脈作用に与える影響を調べた結果,イミダゾリン環を持つα2拮抗薬のみがデクスメデトミジンの抗不整脈作用に拮抗した(Anesthesiology 1993)よってハロセン-エピネフリン不整脈にイミダゾリン受容体が関与している事が示唆された. 2-上記知見をもとに選択性の高いイミダゾリン作動薬であるリルメニジンのハロセン-エピネフリン不整脈に対する影響を調べた結果,リルメ二ジンはハロセン-エピネフリン不整脈を抑制した.またこの抗不整脈作用はイミダゾリン環を持たないα2拮抗薬であるラワルジンの中枢投与で拮抗されず,イミダゾリン拮抗薬であるイダゾキサンの中枢投与で拮抗された.よってハロセン-エピネフリン不整脈に中枢性のイミダゾリン受容対が関与していることが解明された.これらの知見は学術雑誌に投稿予定中である.またラットを用いて中枢性のイミダゾリン受容体の抗不整脈作用の作用機序の解明を行なった結果イミダゾリン受容体の作用にG-Proteinが関与している可能性が示唆された. 3-イミダゾリン受容体刺激がハロセン-エピネフリン不整脈を抑制する機序として中枢神経系を介した交感神経系の抑制が示唆されているが,今後はラットを用いた不整脈のモデルにおいて腎臓の交感神経の活動を記録しイミダゾリン受容体刺激による交感神経の抑制が上記不整脈に与える影響の評価を検討中である.
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