研究課題/領域番号 |
05454423
|
研究種目 |
一般研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
麻酔・蘇生学
|
研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
坂部 武史 山口大学, 医学部, 教授 (40035225)
|
研究分担者 |
松本 美志也 山口大学, 医学部・附属病院, 助手 (60243664)
中木村 和彦 山口大学, 医学部・附属病院, 講師 (50180261)
石川 敏三 山口大学, 医学部, 助手 (90034991)
|
研究期間 (年度) |
1993 – 1994
|
研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
|
配分額 *注記 |
7,300千円 (直接経費: 7,300千円)
1994年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1993年度: 6,300千円 (直接経費: 6,300千円)
|
キーワード | 一過性脊髄虚血 / 脊髄血流量 / 対麻痺 / 一酸化窒素 / 興奮性アミノ酸 / 低体温 |
研究概要 |
家兎およびラットの一過性脊髄虚血モデルを用いて、脊髄虚血の病態生理や虚血障害に対する低体温あるいは薬物治療の効果について検討した。 方法:家兎では左腎動脈直下で、ラットでは胸部で大動脈を20分間遮断することにより一過性脊髄虚血モデルを作成した。脊髄機能モニターとしてsegmental spinal cord evokedpotential(SSCEP)をモニターした。また、colored microsphere法を用いて脊髄血流を測定した。脊髄虚血前後の髄液中の興奮性アミノ酸濃度の測定はラットくも膜下マイクロダイアリシス法で行った。脊髄保護の実験ではまず低体温(35℃または32℃)とチオペンタールの保護効果を家兎20分虚血で比較した。さらに、一酸化窒素合成酵素阻害薬(L-NAME)の保護効果を検討した。 結果:SSCEPは虚血20分で波形が消失したが、再循環20〜30分でほぼ回復する傾向がみられた。脊髄血流は虚血後再灌流10分で虚血前値の約3倍の一過性血流増加を認めた。再灌流60分、120分では遅発性の血流低下は認められなかった。脊髄虚血後後肢の運動障害をきたした家兎の再灌流6時間後の脊髄血流は、虚血前値より増加傾向にあった。脳脊髄液中のグルタミン酸濃度は、虚血中約2.5倍に増加し、再灌流1時間で前値に戻った.慢性実験では、家兎20分虚血で低体温(35℃または32℃)がSSCEPの振幅低下の発現を遅延させ、48時間後の後肢運動機能をよりよい状態に保つことが明らかとなった。チオペンタールに保護効果は認められなかった。L-NAMEに保護効果が認められたが、虚血中の血圧をphenylephrineで同程度に上昇させた群と差がなく、保護作用の機序としてL-NAMEの血圧上昇効果による可能性が示唆された。 まとめ:一過性脊髄虚血後の脊髄障害の機序として、髄液中に放出されるグルタミン酸の関与が示唆された。障害発生機序として再灌流後の遅発性低灌流や一酸化窒素の影響は少ないと考えられた。わずか3℃の体温低下に強い保護効果が確認されたが、ほぼ同程度の代謝抑制を生じると考えられるチオペンタールには保護効果は認められなかった。
|