研究分担者 |
椎原 一彦 熊本大学, 医学部, 助手 (30253735)
柴田 義浩 熊本大学, 医学部・付属病院, 教授 (50264304)
坂口 秀弘 熊本大学, 医学部・附属病院, 助手 (80253748)
矢野 敏之 熊本大学, 医学部, 助手 (50253729)
津野 恭司 熊本大学, 医学部・附属病院, 助手 (40163860)
牛島 一男 熊本大学, 医学部・附属病院, 講師 (60136752)
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研究概要 |
膜型人工肺による対外式心肺補助(extracorporeal lung and heart a ssist.ECLHA)は,難治性呼吸不全に対する優れた生命維持法である。急性重症呼吸不全の肺胞腔に多量に蓄積した各種の過剰の炎症性物質を除去する新しい治療法を開発するため,肺全体を液体で充填したままECLHAで生命を維持することが可能であるかを動物実験で検討した。16頭のイヌを用いた。頸動静脈から脱走血するECLHAで,十分のバイパス血流量(1206±198m 1/min)がえられた後,500〜700mlの乳酸加リンゲル液で肺を充填した。肺の液体充填を24時間継続したが,約半数の動物ではバイパス血流量が経時的に減少し,輸血が実施できないため血行動態が増悪し24時間の生命維持は不可能であった。しかし,残りの8例では,24時間の肺液体充填の間,生体肺のガス交換が完全に無い状態下でもECLHAでガス交換と循環を安全に維持できた。剖検により全ての動物において,大量の胸水と腹水をみとめたが,これらは輸血なしのECLHAに伴う不可避の低蛋白血症が原因と考えられる。今回の研究は,血管透過性を正常に維持して循環血液量と脱血量ひいてはバイパス血流量を十分に保てば,ECLHA下の肺液体完全充填法が可能であること示した。そこで次の研究として,ECLHA時にプロスタグランデインE_1(PGE_1)を投与して血管透過性の変化を体重の増減でしらべた。しかし,PGE_1群(5頭)と非PGE_1投与群(5頭)の間では,体重,尿量,血漿蛋白量の有意の差を認めなかった。 新しい呼吸不全治療法として,ECLHA下肺液体完全充填洗浄法を確立するにはさらに研究が必要である。
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