研究課題/領域番号 |
05454521
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
保存治療系歯学
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
上野 和之 (上野 和久) 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (00048307)
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研究分担者 |
八重柏 隆 (八重相 隆) 岩手医科大学, 歯学部, 助手 (50220116)
熊谷 敦史 岩手医科大学, 歯学部, 講師 (20195514)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
1994年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1993年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 皮膚科的疾患 / 歯肉と粘膜 / 診断と予後 / 病理発生 / 治療効果 / 臨床病理学的研究 / 口腔粘膜 / 病態解析 |
研究概要 |
本研究の目的は剥離性歯肉病変の臨床病理学的検索から、口腔領域に生じる皮膚科的疾患の成り立ちや診断、さらには治療法について検討することにある。症例は男性2例、女性19例の計21例(平均年齢は47.3歳)である。主訴は持続的な歯肉痛と不安感が多く、その7割は刺激痛であった。また、女性19例中の7例には子宮筋腫の既往があり、うち4例は全摘を受けていた。関連症状として精神的苦悩、子宮筋腫や不妊治療などがあり、病変の成り立ちにはホルモン異常や精神的ストレスとの関連が推測された。歯肉病態としては帯状や斑点状の紅斑や剥離性びらんに加えて偽膜や水泡形成を伴うものなどがあった。帯状の紅斑は下顎前歯部と上顎臼歯部で生じ易く、数年で約半数は頬粘膜に特有の症状が現れ、びらん型扁平苔癬の歯肉初発であることが判明した。剥離性びらんに偽膜や小水泡の形成を伴うものは数カ月で口腔粘膜や皮膚に病変が発現し、水泡性粘膜疾患の歯肉初発であることが判明した。経過観察中に病変が口腔粘膜領域に生じた場合は臨床的特徴や免疫組織学的検索によって基礎疾患としての水泡性粘膜疾患や扁平苔癬との鑑別が可能であったが、数年から10数年に渉って歯肉に限局している例では検索部に多様性があり、病理組織学的検索や免疫組織学的検索、電顕的検索によっても基礎疾患を確定することは難しかった。治療としては対症療法を主体に、病変部組織の切除や置換、漢方、症例によってはステロイドやDDSの全身投薬などを試みた。全体としては、尋常性天疱瘡例では治癒傾向が明らかであったが、びらん型扁平苔癬例では治癒傾向が明らかではなく、ある期間治癒が生じてもその後に再発傾向を示すことがあった。剥離性歯肉病変の成り立ちや治療法を追究するためには、本病変とホルモン異常や精神的ストレスとの関連、角化機構を調節する要因に関する免疫学的検索が必要であると思われた。
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