研究概要 |
口腔癌のウィルス感について,口腔扁平上皮癌10例について新鮮資料を採取し,凍結保存後解凍し,資料によりウィルスDNAを抽出し,PCRを行いハイブリダイゼーションをおこない検討した。 またパラフィン包埋した口腔扁平上皮癌の資料を,薄切し,これらの資料からウィルスDNAを抽出しPCRにて増幅し,ハイブリダイゼーションをおこなった。 これらの方法では完全にウィルスDNAの検出はできなかった。これらの原因としては技術上の問題,本来口腔癌にはウィルスの存在が少ないためか,明らかではなかった。さらにRNAの検討も必要と思われた。 組織切片上で検討する目的にて,組織切片上のインサクチューハイブリダイゼーションを行いパピロマウィルスについて検討をおこなった。 これらの結果ではHPV16のDNAに陽性反応が10症例中2例に認められた。これらの陽性反応部位はいずれも腫瘍本体にはあまり認められず,腫瘍の周囲組織には特徴的に見られた。上記の2つの方法ではほとんど反応がみられなかったが,組織切片上では陽性反応が見られ,手技の違いよる感度の問題なのか,疑問がのこった。組織切片上でのインサクチューハイブリダイゼーションによる方法でさらに他のウィルスの感染状況も調査する必要があると思われた。
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