研究課題/領域番号 |
05454584
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
病態検査学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
網野 信行 大阪大学, 医学部, 教授 (60028694)
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研究分担者 |
矢頃 綾 大阪大学, 医学部, 助手 (60273653)
柏井 卓 大阪大学, 医学部, 助手 (00252685)
多田 尚人 大阪大学, 医学部, 講師 (80263242)
日高 洋 大阪大学, 医学部, 講師 (30243231)
玉置 治夫 大阪大学, 医学部, 助教授 (20221400)
光田 信明 大阪大学, 医学部, 助手 (50209805)
岩谷 良則 大阪大学, 医学部, 助教授 (60168581)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
6,900千円 (直接経費: 6,900千円)
1994年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1993年度: 5,700千円 (直接経費: 5,700千円)
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キーワード | 自己免疫疾患 / バセドウ病 / 橋本病 / 慢性関節リュウマチ / 発症予測 / 発症予防 / 妊娠 / 出産 / 出産後発症 / 慢性関節リウマチ |
研究概要 |
妊娠初期に自己抗体を測定し、関連した自己免疫疾患の出産後発症予測を検討した。さらに発症予測可能な症例につき、その発症予防を試み以下の結論が得られた。 1.潜在性自己免疫疾患の把握:血中自己抗体測定により、少なくとも自己免疫性甲状腺疾患の潜在病系が診断できることが確立された。その他の自己免疫疾患も、同様の考え方が出来る可能性が示唆された。 2.妊娠初期における各種自己抗体の出現率:初期妊娠を対象に7種の自己抗体を測定した。出現率はミトコンドリア抗体が0.3%と低く、甲状腺マイクロゾーム抗体は15.4%の頻度を示し、自己免疫疾患予備群がかなりの頻度で存在することが確認された。 3:橋本病・甲状腺機能低下症の出産後発症予測:妊娠初期の抗甲状腺マイクロゾーム抗体価が2万倍以上の高値を示す例は出産後ほぼ間違いなく、甲状腺機能低下症が発症することが確認された。また機能低下症発生直前に破壊性甲状腺中毒症も発生することが明らかとなった。これらの変化の90%以上は一過性であったが、出産後女性の約500人に一人に永続性甲状腺機能低下症が発生することも明らかにされた。 4.バセドウ病の出産後発症予測:妊娠初期にハイクロゾーム抗体を測定し、抗体陽性例を対象に高感度法でTSH受容体抗体(TSAb)を測定した。TSAb陽性のうち、7割りで出産後バセドウ病の発症が見られ、その頻度は一般妊婦の約200人に一人と高かった。 5.慢性関節リュウマチの出産後発症予測:リュウマチ因子を測定し出産後慢性関節リュウマチの発症を観察した。発症率は抗体陽性のうち約25%であり、今後慢性関節リュウマチの特異的な抗体検査法の開発が必要とされた。頻度は2000人に一人であった。 6.出産後自己免疫疾患の発症・増悪の予防:出産直後よりの短期少量ステロイド治療で発症予測された甲状腺機能異常が予防できることが明らかとなった。 7.自己免疫疾患の出産後発症機作:妊娠中の免疫抑制状態が出産により急速に消失し、産後その反跳現象で免疫亢進が起こることが明らかにされた。 今後ほとんどの自己免疫疾患の出産後予測が可能となると同時に、その予防が実現されるものと考えられる。女性に多い自己免疫疾患を将来半減させる可能性が強く示唆された。
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