研究分担者 |
久野 譜也 東京大学, 教養学部, 助手 (70242021)
川上 泰雄 東京大学, 教養学部, 助手 (60234027)
船渡 和男 東京大学, 教養学部, 助手 (60181442)
松尾 彰文 東京大学, 教養学部, 講師 (60126167)
渡会 公治 東京大学, 教養学部, 助教授 (30167192)
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研究概要 |
超音波法を用いて全身12カ所の皮下脂肪厚,筋厚を測定し、30歳から70歳までの加齢変化を見た結果,皮下脂肪厚は大きな変化が見られなかったが,筋厚ではいずれの部位においても加齢に伴い減少する傾向が見られた.特に,上肢の変化に比較して下肢筋群の加齢減少が著しく,大腿前部の筋厚は30歳代に比較して70歳代では約50%に減少する傾向が見られた.又,超音波による骨密度を測定した結果,骨密度は加齢とともに減少する傾向を示した.しかし,スポーツクラブ等に所属するヒトの骨密度は高い傾向が見られた.脚パワー及び脚筋厚と骨密度との間には統計的に有意な相関関係が見られたことから,筋が発達し筋パワーの優れているヒトは骨密度が高いことが示され,身体運動が骨密度に良い影響を及ぼすことが明らかになった.更に,有酸素的トレーニングを13週間にわたり実施した結果,皮下脂肪及び内蔵脂肪量が有意に減少する傾向を示した.又,トレーニング前の内蔵脂肪量の割合が高いものほどその減少量が大きく,運動の効果が著しい傾向を示した.一方,皮下脂肪量はトレーニングの量との間に有意な関係を示した(トレーニング回数が多いものほど皮下脂肪の減少量が多きい)が,内蔵脂肪の減少量はトレーニング量の影響を受けなかった. 以上の結果より,1)加齢に伴い皮下脂肪量は大きな変化を示さなかったが,筋量は減少する傾向を示し,特に下肢筋群の減少が著しく,この事は日常生活に於ける身体活動量の減少を引き起こすことが考えられた.2)骨密度と筋パワー及び筋量との間には密接な関係が見られ,身体運動による筋量の増加,筋パワーの向上が骨密度の増加を引き起こすことが推察された.3)有酸素的トレーニングにより皮下脂肪量及び内蔵脂肪量の減少が確認され,身体運動が体脂肪量の有効であることが確認された.
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