研究課題/領域番号 |
05454636
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物物理学
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
島田 秀夫 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (80095611)
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研究分担者 |
江川 毅 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10232935)
向井 邦晃 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80229913)
木股 洋子 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (60255429)
広瀬 忠明 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (60051405)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
6,600千円 (直接経費: 6,600千円)
1994年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1993年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
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キーワード | チトクロームP450 / カンファー / 酸素化型 / 酸触媒 / 人工酵素 / O-O結合開裂反応 / 人工アミノ酸 / 電子伝達 / プロトン / 非天然型アミノ酸 |
研究概要 |
本研究では、細菌のチトクロームP450(P450)を用い、活性部位の設計原理を解明することを目的とする。このP450はカンファー水酸化酵素系(プチダレドキシン(Pb)、Pb還元酵素そしてP450から成る)の末端酸素添加酵素であり、次の反応を触媒する。この反応でP450はd-camphor+NADH+O_2+H^+→5-exo-hydroxycampor+NAD^++H_2O Pdにより2度1電子還元される。最初は酸化型の、次は酸素化型反応中間体の還元である。P450の分子表面に位置するArg112が、この2度の還元反応に必須であることが本年度明らかになった。各種112変異酵素の反応動力学的な解析と酸化還元電位の測定から、Arg112の役割として、1)P450camとPdとの結合位であること、2)P450の酸化還元電位を調節する因子であることの2点が示唆された。 P450camの活性部位に位置するThr252を水素基をもたない他のアミノ酸残基に置換すると、酵素反応で酸素は2電子還元された後、そのO-O結合が開裂されることなく過酸化水素として放出される。この結果から、我々はThrの水酸基がO-O結合開裂の酸触媒として働くと提唱した。今回このモデルを検証するためにThrの位置にThr-OCH_3を部位特異的に導入した。この標品は、P450に特徴的な紫外・可視の光吸収スペクトルを示し、従ってこの標品のたんぱく構造は野生型のそれにほぼ一致すると解釈された。次にPd還元酵素、PdそしてP450からなる再構成系でこの標品の酵素活性を測定したところ、酸素消費活性は野生型の3分の1に低下したが、消費された酸素のほぼ100%が1原子酸素添加反応に使われた。従ってこの人工アミノ酸をもつ変異酵素は、酸素のO-O結合開裂を効率よく触媒すると解釈され、従って我々の提唱したモデルと一致しなかった。
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