研究分担者 |
小久保 博樹 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助手 (10270480)
大野 薫 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助手 (10260035)
滝谷 重治 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助手 (50179587)
上野 孝治 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助教授 (10143504)
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研究概要 |
絹糸腺の分化に関わりのありそうな遺伝子群としてBm Scr,Bm fkh,Bm en,Bm Antpなどをクローン化し,構造解析を行った。一方,絹糸腺特異的に転写されるフィブロインおよびセリシン-1遺伝子の転写因子群のうち,SGF-3/POU-M1は先にクローン化し,DrosophilaのCf1-aと同一のPOU-homeodomainを有することを報告した。さらに,SGF-1を精製し,部分配列を決定した後,cDNAをクローン化して,全構造を決定した。その結果,SGF-1はfkh/HNF-3βファミリーに属するBm fkhと同一であることが確定した。 カイコ胚発生におけるこれらの遺伝子の発現を,in situ hybriditation法に改良を加えつつ解析を行なった。SGF-1やSGF-3の発現に先立って,Bm Scrは絹糸腺が形成される前の時期の下唇節全体で発現される。SGF-3/POU-M1は,絹糸腺形成につれて広い領域で発現し,やがて中部絹糸腺に限局されてくる。SGF-1/Bm fkhは前腸,後腸などでの強い発現の他に,中腸の一部や形成途上の絹糸腺でも発現する。絹糸腺での発現は,やがて中部・後部絹糸腺に限局されてくる。 下唇節の決定,分化を,body planの一環としてとらえ,これに関わりのある制御遺伝子群のクローニング,構造解析,同定,発現パターンの解析を行って,絹糸腺の発生と分化に関する興味のある知見を得た。SGF-1/Bm fkhとSGF-3/POU-M1がフィブロイン遺伝子とセリシン-1遺伝子をターゲットの一部としていることが明らかとなった。今後は,これ以外の遺伝子間の制御支配関係を確立することによって,階層的システムを明らかにする予定である。
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