研究概要 |
生体鉱物化作用を利用することによって,岩石,土壌,鉱物の微生物による腐食,変質,二次生成物を評価することができる.また,そのメカニズムを解明することにより腐食の対策や汚染環境の浄化に役立てることができる.本研究では,風化,変質,微生物腐食,汚染された岩石,鉱物,土壌,コンクリート中の化学成分やその分布,深度,状態を,本研究補助金で製作した低真空ウエット走査型電子顕微鏡を用いて明らかにした.その結果は下記のとおりである. 1.アイスランド,ニュージランド,別府における間欠泉,温泉,地熱地帯で採取した微生物腐食サンプル,バイオマットを電子顕微鏡で観察した結果,珪藻やシアノバクテイアの細胞内外にFe,Si,Ca,Al,As,Sなどの元素の濃集と各種の鉱物の生成が認められた. 2.現生の淡水性のバクテリアがマンガンや鉄を濃集し非晶質物質を生成することを水と堆積物を用いた培養実験で確かめた. 3.微生物関与によりマンガン物質の生成と比較するために,化学的生成のコントロール実験も行い,その生成物の形態や生成条件が異なることを明らかにした. 4.ウラン鉱床周辺の岩石,土壌,水,植物を採取し,ウランの濃度,分布,濃縮状態を明らかにした. この研究結果は,産業廃棄物処理場や放射生廃棄物の保管地帯の安全保護に役だつのみならず,新素材の開発や医療分野にも適用できる.
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