研究課題/領域番号 |
05554023
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研究種目 |
試験研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物質変換
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
鈴木 仁美 京都大学, 理学部, 教授 (50025342)
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研究分担者 |
都丸 淳一郎 日本化薬(株)化学事業本部, 化学品研究所, 研究員
前田 幸一 日産化学工業(株), 中央研究所, 主任研究員
田村 類 愛媛大学, 教養部, 助教授 (60207256)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
17,500千円 (直接経費: 17,500千円)
1994年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1993年度: 16,500千円 (直接経費: 16,500千円)
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キーワード | ニトロ化 / 芳香族化合物 / 二酸化窒素 / オゾン / カチオンラジカル / 反応機構 / 置換ベンゼン / 五酸化二窒素 / 三酸化窒素 |
研究概要 |
二酸化窒素に代表される低級窒素酸化物-オゾン系をニトロ化試剤に用いて各種の芳香族化合物及び置換ヘテロ環化合物をニトロ化し、生成物を検討することにより、本方法の将来における省エネルギー、無公害プロセスとしての可能性を体系的に調査し、来世紀に向けた新技術としての確立を試みた。本法によるニトロ化生成物は硝酸-硫酸を用いた従来法による生成物とかなり異なる異性体分布を示し、中性条件下でも円滑にニトロ化が行なえる点で、強いLewus酸であるニトロニウムイオンの発生を必要とする古典的なニトロ化反応とは本質的に異なる新しいニトロ化法であることが判った。置換基の配向性と生成物の異性体分布の関係は特に変っており、ハロゲン、アシル、カルボキシル、アルコキシ、アミドなどのヘテロ元素置換基を持つ基質に対しては高いオルト配向性が観測された。塩素および具素原子の場合には基質の初期濃度の変化に応じてオルト/パラ比が逆転するという奇妙な現象が観測された。また、アルキル、アルコキシ、ハロゲンなどのオルト-パラ配向性置換基を持つ場合には、反応初期に著しいメタ配向性が認められた。本ニトロ化法によると、アセタールとか安息香酸塩のように従来法ではニトロ化が原理的に不可能な化合物のニトロ化も可能となる。速度論的な研究や分子軌道法による計算の結果、本反応は二酸化窒素とオゾンの反応により発生した三酸化窒素を一次の求電子試剤とし、電子移動によるカチオンラジカルの発生と、五酸化二窒素の生成とが競争する複合的な反応過程からなる非古典的な機構で進行することが確認された。本反応の経済性はオゾンの発生に必要とされる電気量によって決定されるが、触媒の開発により酸素自体を反応系で利用してオゾンの使用量を減らすことが出来れば、将来的に硝酸-硫酸法を完全に追放する可能性が大きい新技術であると考えられる。
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