研究概要 |
本年度は、溶液内電子移動反応機構を解明するための電解ストップトフロー・電気化学発光測定装置の設計および構築を中心に検討を進めた。 電解を行うカラム電極については電極材料や隔膜材料について詳細な検討を行ったうえで、炭素繊維を作用電極として充填した外径7mm、長さ30mmの多孔質ガラス管を使用する構成に決定した。溶液の移動方式については、コックレス型のピストンドライバーを新たに使用することにより、操作を簡略化をはかるとともに、加圧のためセルにかかる負荷を軽減した。また、光学セルについては、吸光測定に比べて倍の直径を持つ設計として、その部分から光ファイバーを通して高感度フォトンカウンティング検出器に光を導入する方式とした。 以上の設計に基づいて、電解ストップトフロー・電気化学発光測定装置の試作品が完成した。電解セル・光学セル・溶液駆動部はすべて一体型の構成としたため、結局、縦100mm,横150mm,高さ200mm程度のコンパクトな構成となった。集光光学系については、ルミノールの化学発光系により基礎検討を行った結果、充分実用性のあるものであった。 電解については、パルスシーケンスに関する検討を加え、標準のソフトウェアーを改良して、電解のトリガーをコンピュータから外部出力して一定時間電解したのちにピストンを駆動し光検出を行うことを可能にした。また、二系列の電解を個別に時間制御できる電位切替装置を作製することにより、10ミリ秒単位での厳密な時間制御も容易に行えるようになった。今後、実際の電気化学発光系についてさらに検討を進めていく予定である。
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