研究概要 |
レーザーアブレーション法により固体ターゲットから直接ラジカル種を発生し,ラジカルビーム源としての利用の可能性を評価する為,に放出されたラジカルの特性をレーザ誘起蛍光法により調べた。結果の概要は以下の通りである。 (1)YBa_2Cu_3O_<7-x>ターゲットらはBa,Y,YO,BaOの発生を確認した。 (2)YBa_2Cu_3O_<7-x>ターゲットより発生したYO分子ラジカルの運動エネルギーは数eVと大きいのに対し,回転エネルギーは0.2eV程度と小さい。大部分のエネルギーは運動エネルギーとして放出される。 (3)Al_2O_3,Si_3N_4,BaTiO_3など各種セラミックスをターゲットに用いて,発生した粒子種の同定を行なったところ,原子種がおもに発生することがわかった。 (4)YBa_2Cu_3O_<7-x>,Al_2O_3,Si_3N_4ターゲットから放出された原子種の速度分布関数は,いずれも2成分のシフティッドマツクスウェル分布で良く記述できる。 (5)生成したAlラジカルをスリットで切り出してビームを生成し,ビーム形状をイメージングレーザー誘起蛍光法により可視化した。これにより,高速の中性ビームが容易に生成できることが示された。 ビーム源として実用化の際重要になると思われるターゲットを繰り返しアブレートした際の劣化について調べた。その結果,繰り返し照射により微粒子放出量は増し,ラジカル放出量は減少するのが観測された。微粒子放出量より評価したターゲットの寿命は約50回程度である。劣化特性を記述する実験式を提案した。
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