研究概要 |
1.交流電位差法における空気中の磁束の扱いに関する基礎として,メッキ層の厚さ,電磁物性値に加え,誘導起電力をも未知量として扱い,これらの未知量を評価するという逆問題解析手法を考案した。 2.電流下の部材の挙動に関する基礎研究として,き裂端近傍の電流密度分布ならびに温度分布を解析した。温度分布の解析ではジュール発熱のみならずトムソン効果をも考慮した。 3.上記2.の研究に続き,任意の角度を有する部材角部に電流が流れる場合の電流密度分布と温度分布を解析した。ここに温度分布の解析ではジュール発熱のみを考慮した。 4.上記2.と3.を踏まえ,電流下の角部を対象とし,ジュール発熱に加えトムソン効果を考慮して角部近傍の温度分布を解析した。 5.空気中に大きな磁束を有する計測システムを対象として,試験片表面上の電流の変化に起因して空気中の磁束密度が大きくなり,常磁性体,強磁性体共に,電位差が増加することを理論モデルにより明らかにした。 6.上記モデルを検証するための実験方法を開発した。 7.実験の実施により,空気中に大きな磁束を有する計測システムでは,電位差変化が大きく,かつ消磁の有無によらず,また強磁性体,常磁性体共に電位差変化が応力拡大係数の変化に比例し,かつ同関係はき裂長さに依存しないことを明らかにした。 8.得られた実験結果を前述のモデルによる説明できることを確認した。 9.実構造物に本手法を適用するにあたり,計測システムが具備すべき条件を明らかにした。
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