研究概要 |
宇宙構造物やドーム構造物をはじめとして柔軟な構造物が多数製作されるようになってきている.このような構造物は外力の作用により大きな変形を伴うので,ひずみゲージなどによる接触式の方法では計測が困難である.そこで,本研究では,画像処理技術を援用した知的リモートセンシング手法の開発を目指して以下のような研究を行った. まず,画像データを入力するための装置の構成を行った.すなわち,画像入力装置としてCCDカメラおよびビデオマイクロスコープを用い,出力信号を一旦,画像メモリボードに取り込,その後,必要に応じてコンピュータに転送し,画像処理を行う構成とした.また,画像入力を容易にするために,両側に等変位で負荷を与えることにできる引張試験機を作成した. つぎに,変位・ひずみ場の計測を行う手法について検討を行った.まず,試験片に格子縞を描き,その交点を追跡する手法について検討し,ニューラルネットワークを適用することにより処理の自動化を計った.実際の画像データにはノイズが含まれるため,その影響により抽出できない交点が存在し,完全に自動化するには,さらなる検討が必要であることが分った. そこで,次に,試験体にランダムに点を描き,その変形前後の画像からパターンマッチングによって,変形量を画像解析するアルゴリズムの開発を行った.さらに,本手法を,引張り荷重を受けたフィルム状の試験片を局所加熱した際の,しわの発生挙動の解明に適用した.その結果,画像解析により,有限要素法による解析結果とほぼ一致した変位・ひずみ分布が得られること,および,しわの発生には,材料の応力-ひずみ関係の温度依存性ならびに最小主応力の値が大きく関与していることを明らかにした.
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