研究概要 |
化学反応機構の研究において,これまでの衝撃波管では不可能であった高精度のデーターを得ることが可能とするためにコンピューター制御により自動化システムを製作した。まず作動メカニズムの基本として高速作動型ニューマティックバルブを従来の隔膜として用い,また給気,排気系統も電磁弁によるニューマティックバルブに変更した。予めプログラムされた指令に基いてパソコンは,1)高圧ガス自動供給,2)低圧部高真空排気,3)ガス漏れに対する緊急停止システム,4)試料気体の自動供給,5)真空紫外吸収分光法による原子濃度の時間変化の測定,6)衝撃波速度の測定および実験温度、圧力の計算,7)原子共鳴吸収強度の測定結果を較正曲線に基いて絶対濃度へ変換,8)反応動力学的な解析・反応速度定数の評価、9)次の衝撃波発射順番と安全確認,など従来マニュアル操作された手順を制御,解析する。この自動制御システムの採用によって,試料気体初期圧力,高圧部圧力等の設定値の人為的なばらつきが除かれまた隔膜に替る高速ニューマチックバルブの採用による入射衝撃波速度の再現性が大きく改善された。同一条件下で測定をくり返すことが容易に行えるため,加算平均によるS/N比の向上,広い波長領域にわたるスペクトル強度分布の測定等が可能となり速度定数の信頼性が飛躍的に向上した。この装置とエキシマ、レーザーを結合して高温領域における閃光分解反応を行い発生する原子,ラジカルの関与する反応素過程を直接測定している。対象とする反応過程として酸素原子,硫黄原子と飽和炭化水素の反応における水素引き抜き部位の選択性の検討,H_2Sの熱分解,酸化反応メカニズムの直接的測定に基く検討等の研究を実施中である。従来の衝撃波管法では得られないデーターが系統的に求められつつある。この成果は近く学術誌上に公素する予定である。
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