研究概要 |
鉄,自動車用トンネルの通気改善や通信ケーブルの坑道内における換気設備を考える場合,トンネルや坑道の通気抵抗を求める必要がありそのため精度の良い通気圧測定器の開発が望まれている。本研究はトンネル両端における気圧差を測定し通気圧を求める方式の通気圧測定器において,重要な役割を果たす定圧容器の高精度恒温保持装置の開発を目的とした。通気圧測定を±1Paの精度で行なうためには容器内の温度変動を3/1000℃以内に保たねばならないが,このような高精度の恒温を保つための制御方式、温度変動に関する動特性,制御精度等について理論的研究を行なうとともに,試作装置による実験的な検討を行なって,次のような成果がえられた。 (1)理論的研究については,主として計算機によるシミュレーション実験を行ない,恒温槽に対するセルフ・チューニング・コントロール(以下STCとする)を実施するためのシステム同定を行なった。えられた数学モデルの動特性解析を行ない,高精度の恒温特性を実現するために特に大きな影響を及ぼす外部及び内部の不規則雑音の影響を調べた。その結果,恒温槽の定常特性として,中間槽(二重壁恒温槽の中間部分)においては0.2℃以内の制御精度,内槽においては0.003℃以内の制御精度を実現した。過渡特性としては30分以内に定常状態となるようなパラメータ調製条件を見い出した。 (2)実験的研究については,発泡スチロール製外容器の内部に特殊なガラス容器を発泡スチロールで覆った内容器からなる二重壁恒温槽を試作した。この装置に基づきSTCに関する基礎実験を行ない良好な結果をえた。特にST-PID制御が有効であることを確かめた。 以上を総合的に検討した結果,筆者らが提案した通気圧測定器の実現可能性を立証できた。
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