研究概要 |
球面4節連鎖であるフックス継手を変形し,3重に組み合わせた等速自在継手を応用して,独自な関節機構を開発してきた.これまでの試作機構は,外側にシェル状のフックス継手を設け,その中間部にプッシュ/プルロッドを2本取り付けて駆動する方式であった.そのため操作性に優れていたが,力の伝達経路が複雑で力学的解析が難しく,そのうえ,外部にロッドが露出して,衝突などの事故に弱いなどの欠点があった.そこで,本研究では,外部のシェル状フックス継手を取り去り,等速自在継手そのものの基部側のリンクへ直接プッシュ/プルロッドを取り付けて駆動するモデルを試作第3号機として提案し,実用設計を行なうための力学的解析手法と設計手法を確立するべく研究を進めてきた.同時に,産業用ロボットに搭載すべきモデルとして試作第2号機を製作して,実際に垂直多関節ロボットの先端に付加し,この付加関節とロボットの協調動作を実現するシステムの設計・製作を行った.その主な結果を以下にまとめる. 制御装置の構成や制御ソフトウェアが公開されないロボットシステムとの協調動作を実現する方法として,ロボットの関節のエンコーダからのパルスを利用する方法を提案した.その際,任意パルス数のパルス列を任意比率で均等に分配する回路を提案し製作した. 他方,試作第3号機の設計の過程では,静力学解析が不静定問題になるので,その解法として,機構内内力による機素の変形を考慮した方法を提案し,実際に対偶力などを算出した.また,アクチュェ-タを3つにして冗長駆動することによって,駆動力や対偶力を大幅に軽減できることを明らかにした.また,リンク形状の最適設計のために,構造解析用ソフトウェアと静力学解析プログラムを組み合わせた設計法を提案した.また,加工精度の合理的設定のために機構定数誤差に対する動作誤差を明らかにすることができた.
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