研究課題/領域番号 |
05555147
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研究種目 |
試験研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
水工水理学
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
山田 正 中央大学, 理工学部, 教授 (80111665)
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研究分担者 |
山下 俊彦 北海道大学, 工学部, 助教授 (80143692)
内島 邦秀 北見工業大学, 工学部, 助教授 (40003181)
佐渡 公明 北見工業大学, 工学部, 教授 (90003201)
長谷川 和義 北海道大学, 工学部, 助手 (70001328)
藤田 陸博 (藤田 睦博) 北海道大学, 工学部, 教授 (80001139)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
7,100千円 (直接経費: 7,100千円)
1995年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1994年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1993年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
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キーワード | 青潮 / アオコ / 淡水化 / 湖水環境 / 富栄養化 / 塩水楔 / 湖流動 / 成層化 / 自然湖沼の開発の可能性 / 淡水化工法 / 融雪出水 / 塩水の吐き出し / 管理運用システム / 2成層流体 / 塩水くさび / 大型回転水槽 |
研究概要 |
本研究は、北海道東部に位置する網走湖の水理・水文特性の解明と自然の自浄作用を活用した湖の浄化対策工法の確立を目的として行ったものである。なお、網走湖は網走川の感潮域に位置し、青潮が頻繁に発生する陸水面としては稀な水域である。平成5年度は、主に現地観測による湖の実態調査を行った。調査項目は、網走地方の年降水量、河川流入量、湖および網走川の水温・水質・流動・成層構造、海水の逆流状況である。これによると海水の逆流による湖水の成層化と流入負荷による富栄養化が湖内の生態系と湖水環境に深刻な影響を及ぼしていることがわかった。特に、青潮やアオコの発生は漁業や取水に甚大な損害を与えている。平成6年度は、観測結果に基づき、網走湖の塩水化の長期予測および流入河川の噴流特性について解析を行った。湖の塩水化傾向については昭和25年以降の網走地方(網走川流域)の気象・水文データと数値解析により考察を行った。これより湖の塩淡境界面の長期変動は年降水量の減少に起因し、年単位の短期変動は主に融雪洪水に起因することがわかった。また、湖の塩淡境界の長期変動について数値解析を行い、湖は10年後に塩水湖になる可能性のあることを明らかにした。さらに、流入河川の噴流解析から網走湖のような数キロスケールの水域においてもコリオリ力の影響を考慮する必要のあることがわかった。平成7年度は、湖の成層構造と湖内流動特性との関連および数値解析に基づく湖の淡水化工法の可能性について検討を行った。湖の流動特性については現地観測、室内実験および数値解析により考察を行った。ここでは主に湖全体の流動特性、洪水時の流入泥水の噴流特性、湖の生態系や湖水環境に多大な影響を及ぼすアオコや青潮の挙動を重点的に扱った。これにより湖の流動は密度成層、風、湖盆形状、コリオリ力および流入河川の影響を受け鉛直方向に4層に流速、流向が変化し、窒素やりんなどの栄養塩類の湖内拡散やアオコの分布に微妙に影響していることがわかた。また、青潮は強風(20m/s)の連吹(3時間程度)により発生し、その抑制には湖下層の塩水層厚を減少させることが有効である。本研究を通じて研究代表者らは湖の淡水化対策として以下の2つの手法を提示する。1つは上流側で河川流入量を制御し、1つは下流側で海水遡上を制御することで湖の下層塩水層厚を減少する手法である。前者においては自然現象である融雪出水を利用した下層塩水の強制的な吐き出し工法が有効である。後者においては湖出口付近に塩止め堰を設ける海水遡上阻止工法が有効である。
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