研究概要 |
初年度において,高速空気流による雪の管内輸送システムに組合せて使用する雪投入装置の試作を行った.この試作機に要求される条件は,輸送管路に雪を投入する際に輸送管路内の高速空気流の風速を減少させないこと,および、雪を管内輸送に最適な形状とすることである.これ等の条件は,輸送能力の低下と輸送管路内に生ずる雪の閉塞現象の頻度と密接に関連している.試作機は,ドラム状のケーシングと回転羽根から構成され,両者の間には気密性を持たせてある.上部から入れた雪塊は,オ-ガによって適度の大きさに砕かれ,下部に接続された輸送管路に送り込まれる.この試作機の基本特性は,2冬季におけるフィールドテストの結果に基づく改修により,オ-ガ再設計の必要性を除いては,ほぼ設計通りの値を示した. 輸送管路および輸送管路の合流点における雪塊の輸送状態をビデオ画像によって解析した。輸送管路が曲率をもつと,雪塊の内壁との衝突によって輸送速度が一時的に減少し,閉塞が生じ易くなる。数m程度の輸送管路に曲率を与える場合,輸送速度の減少を極小とする曲率が存在する.合流点における雪塊の挙動は,雪塊の運動量に着目すれば,曲率をもつ輸送管路における雪塊の挙動と同様な解析ができる. 高速空気流による管内輸送には,高圧ブロワ-を主動力源とし,コンプレッサ等の高圧空気発生源を補助動力源として使用する組合わせがよい.高圧ブロワ-は管内風速値の確保に有利であり,コンプレッサ等は高速空気流のブ-ストと共に管内圧力の部分的な低下を引き起こすために雪投入機の接続に好都合である.輸送距離の延長には,主動力源の出力増加よりも補助動力源の追加によって対応する.この構成は,管内風速を低下させずに同一輸送管路への複数の雪投入機の接続を可能とし,管内輸送システムのネットワーク接続をも可能とする.
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