研究概要 |
高分解能超音波スペクトラム顕微鏡システムを開発するとともに,それを用いて材料のスケールパラメータを評価することを目的とした開発研究を行った.得られた成果は次のとおりである. 1.高分解超音波スペクトラム顕微鏡システムの開発:超音波反射率の局所的測定に基づく表面波スペクトロマイクロスコピーシステムを開発した.これにより,空間分解能10〜150μm,周波数帯域10〜150MHzでの弾性表面波挙動の測定が可能となり,本研究のハードウェアは完成した. 2.基礎パラメータ評価手法の確立:力学特性を評価するための基礎的パラメータである表面波速度と超音波減衰を,上記システムを用いて定量的かつ高精度に評価する手法を開発した.これにより,局所領域での弾性特性評価ならびに材料の微視構造評価が可能になった. 3.AMS逆解析手法の確立:測定した超音波パラメータから材料の弾性特性,密度および表面層の状態を定量的に評価するためのAMS(Acoustic Material Signature)逆解析手法を開発し,その有効性を確認した.これにより,微小領域および表面層における定量的力学特性評価の基礎が完成した. 4.不均質材料の平均特性評価に関する検討:開発した測定システムを用いた微小領域における結晶異方性評価法を確立するとともに,それを利用した多結晶材料の平均特性評価についていくつかの検討を行い,材料のスケールパラメータの定量的評価に関する基礎を確立した. 今後,ハードウェアに若干の改良を加えて測定の空間分解能と周波数帯域をさらに向上させることで,よりクリティカルで高精度な局所的力学特性評価ならびにスケールパラメータ評価が可能になると考えられる.
|