研究概要 |
シリカと炭酸ジメチルとの反応において,シリカの物性が反応速度に与える影響を調べた.まず,コロイダルシリカを150℃で乾燥後,各種の温度で焼成することによりシリカの試料を調整した.この試料に触媒として水酸化カリウムを含浸担持したものを常圧固定床流通系反応装置に充填した.ヘリウム気流下で260℃,1h加熱後,同温度で炭酸ジメチルを供給した.反応器出口ガスを3.5分毎にガスクロマトグラフで分析し,目的生成物であるテトラメトキシシランの生成速度(=シリカの消費速度)を測定した.焼成温度400-600℃では,シリカの消費速度は焼成温度が高いほど大きいが,焼成温度700-900℃では小さくなった.各温度で焼成したシリカの細孔分布には大きな差異はなく,また,水酸化カリウムを担持したものの表面積にも大きな差は認められなかった.焼成温度の違いによる反応速度の差は,シリカの細孔分布や表面積によるものでななく,反応の進行にともない反応性が高いシリカ表面が露出してくることによることが明らかとなった.また,シリカは炭酸ジエチルと反応しテトラエトキシシランを与えることも見い出しており,この反応系について反応条件がシリカの消費速度に与える影響が明らかにされた. シリカと炭酸ジメチルとの反応を,金属酸化物と炭酸ジアルキルとの反応に拡張する目的で,含水酸化チタンと炭酸ジエチルとの反応によるテトラエトキシチタンの合成を試みた.触媒として水酸化ナトリウム(5wt.%)を用いると反応時間2hでテトラエトキシチタン収率は35%となり,3hでは93%に達する.さらに,反応温度がテトラエトキシチタン収率に与える影響や,含水酸化チタン(110℃乾燥)を焼成するときの温度がテトラエトキシチタン収率に与える影響が明らかにされた.
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