研究分担者 |
児玉 良明 運輸省船舶技術研究所, 推進性能部・抵抗研究室, 室長
高松 健一郎 大阪府立大学, 工学部, 助手 (10081390)
平野 進 大阪府立大学, 工学部, 講師 (70081388)
馬場 信弘 大阪府立大学, 工学部, 助教授 (10198947)
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研究概要 |
計算流体力学と最適化手法を融合させそれを船型設計に応用することを目的として、抵抗・流場を求める順問題の数値解法の整備,2次元流れにおける逆問題の定式化の整備,その3次元問題への拡張,実用船型への応用,検証のための模型実験などを実施した. まず初年度の平成5年度には,従来の別所の理論に基づく形状変更感度解析手法の見直しを行い,これを改良した.物体形状の表現法については新たにB-スプライン関数を導入し,形状変更パラメタの独立性を向上させた.これらを用いて2次元粘性流場における抵抗最小化の試計算を行いこの方法の有効性と問題点を明らかにした.そして,3次元流場への拡張を図るため,感度係数の計算法の3次元問題への定式化を行った.さらに,画像処理システムAVSに基づく3次元グラフィック描画モジュールを開発し,計算格子の妥当性の検討などの前処理,流場計算結果の後処理の段階に適用した. 最終年度の平成6年度には,2次元流れの基礎解析の充実,3次元船体形状への応用を目的として次の研究を実施した.まず数値計算については,物体表面上の圧力分布や後流での伴流分布を指定して,それに対応する物体形状を求めるという逆問題を試みた.計算の結果は良好で,3次元実用船型への応用が可能であることを立証した.つぎに実用船型への応用として,造波抵抗を最小化する試みを行った.線形理論によって造波抵抗を求めるとともに,船型をB-Spline関数により表現し,最適化問題に適用して船型改良を実施し,模型実験によりその有効性を確認した.さらに粘性抵抗については,3次元流へ定式化と計算コードの整備,ならびに試計算を行った.最適解を得るにはいたらなかったが,今後実用化に向けての研究体制を確立することができた.また数値計算の入出力データのコンピュータ画像処理の整備は順調に進み,AVSシステムを用いた3次元グラフィック描画のモジュールを完成させることができた. 以上により,計算流体力学と最適化手法を応用した船型設計の手法を確立することができた.今後は,様々な設計条件に対して本手法を応用し,実績を積み重ねることが重要である.
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