研究課題/領域番号 |
05556008
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研究種目 |
試験研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
蚕糸・昆虫利用学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
山下 興亜 名古屋大学, 農学部, 教授 (50023411)
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研究分担者 |
武田 禮二 塩野義製薬株式会社, 油日ラボラトリーズ, 研究員
古沢 寿治 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 教授 (70127166)
佐藤 行洋 名古屋大学, アイソトープ総合センター, 助手 (60222022)
今井 邦雄 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (80109313)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
15,100千円 (直接経費: 15,100千円)
1994年度: 5,100千円 (直接経費: 5,100千円)
1993年度: 10,000千円 (直接経費: 10,000千円)
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キーワード | 休眠ホルモン / 休眠ホルモン類縁体 / 休眠ホルモン遺伝子 / 遺伝子発現 / 神経分泌細胞 / 休眠卵 / カイコ / 修飾ペプチド / 構造活性相関 / 多化性系統 |
研究概要 |
カイコの休眠ホルモンは24個のアミノ酸からなるペプチドアミドである。本ホルモンをカイコの多化性系統の蛹に注射投与すると産下卵は休眠卵となり、休眠状態で卵を長期間にわたって保存することができる。より有効なホルモン類縁体の創製を目的に、約100種類のペプチドを化学的に合成し、それぞれについて休眠卵誘導活性を調査した。その結果、生物活性発現に必須な構造として、(1)C末端がアミド化されていること、及び(2)C末端にFGPRLのアミノ酸配列を有していることが明らかにされた。つまり休眠ホルモンアナログとしてはC末端のヘキサペプチドが有効であると結論され、さらにこの基本活性はN末端のペプチドによって強化されることが示された。 休眠ホルモンまたはその類縁体を大量の多化性カイコに一度に投与する方法としては散布による経皮投与法が有効である。このためのホルモン剤を開発するために、脂溶性の活性物質を探索した。カイコの雄成虫の頭部に有機溶媒に可溶な活性物質がみられた。活性物質を精製し、そのうち1種を単離した。本物質はペプチドであり、分子量約10Kであった。N末端の55個のアミノ酸配列を決定した結果、全アミノ酸数の70%がバリン、アラニン、プロリンであり、きわめて特異的な新規なペプチドであることが判明した。本ペプチドの休眠卵誘導活性は休眠ホルモンの1/100であったが、それ以外に本ペプチドは休眠ホルモンの分解を阻害する作用を有していた。 休眠ホルモン遺伝子の構造解析、発現実体さらに発現調節機構についての研究を進めた。その結果、本遺伝子は5個のイントロンを含む6個のエクソンで構成され、食道下神経節の12個の神経分泌細胞で発現しており、その発現は催青温度によって調節されていることが明らかになった。また合成休眠ホルモン及び類縁体を投与して得られた休眠卵は天然の休眠卵と同様にソルビトールやアラニンを蓄積し、正常な休眠卵であると判定された。これらの結果は合成休眠ホルモンが蚕卵の長期保存のための化学調整剤として有効であることを証明した。
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