研究課題/領域番号 |
05556015
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研究種目 |
試験研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用微生物学・応用生物化学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
木村 光 京都大学, 食糧科学研究所, 教授 (80026541)
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研究分担者 |
井上 善晴 京都大学, 食糧科学研究所, 助手 (70203263)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
5,400千円 (直接経費: 5,400千円)
1994年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1993年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
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キーワード | グルタチオンペルオキシダーゼ / 酵母 / グルタチオン / リン脂質 / コレステロール / 過酸化脂質 / 活性酸素ストレス / Hansenula mrakii / 固定化菌体 / 老化 / 細胞膜 / 活性酸素 |
研究概要 |
本研究は我々が酵母Hansenula mrakiiに見い出した膜結合型の新規なグルタチオンペルオキシダーゼ(GPx)の基質特異性を利用し、酵素法によるリン脂質、及びコレステロール過酸化物の定量法を確立する為の基礎的知見を得ることを目的とした。以下、本研究において得られた成果を要約する。 H.mrakiiを過酸化脂質やO_2、HO生成系で処理するとGPxが特異的に誘導された。本菌より単離した過酸化脂質感受性変異株の生化学的解析から、本菌においてGPxの誘導が過酸化脂質耐性に必須であることを証明した。またこの時、他の抗酸化性酵素(SOD、カタラーゼ、チトクロムcペルオキシターゼ)活性は不変か、むしろ活性が低下した。グルタチオン(GSH)代謝系酵素については、GPx反応で消費されるNADPHを供給するグルコース6ーリン酸脱水素酵素が誘導されており、全体としてGSHの再還元が速やかに行われるよう適応していることを明らかにした。 2.GPx遺伝子のクローニングの一環として、ratGPx-cDNAを参考にオリゴヌクレオチドプライマーを合成し、H.mrakiiの染色体DNAに対しPCRを行い、約350bpのDNA断片を得た。本DNA断片はratGPx-cDNAと相同性を示した。 3.これらの基礎的知見をふまえ、リン脂質、及びコレステロルの過酸化物の定量を検討した。膜画分から精製したGPxのtert-ブチルヒドロペルオキシドに対するV_<max>は625μmol/min/mgであり、リン脂質過酸化物としてホスファチジルコリンヒドロペルオキシドを、また、コレステロールの過酸化物としてコレステロール5α-ヒドロペルオキシドをそれぞれ調整しV_<max>を検討したところ、tert-ブチルヒドロペルオキシドに比べ相対比120%であり、いずれも良好な基質となることを示した。 大腸菌のGSH合成系酵素遺伝子とH.mrakiiのGPx遺伝子をタンデムに連結させ、GSHの供給系とGPx反応のカップリングを試みたが、H.mrakiiの全鎖長GPx遺伝子が得られなかったため実施できなっかた。しかしながら、H.mrakiiの菌体固定化の条件を確立し、GSH利用酵素の1つであるグリオキサラーゼIを指標として、安定性等、種々の条件を検討できたので、将来的に、それらの知見を過酸化物定量へフィードバックできるものと期待される。
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