研究概要 |
本研究では酵素的にタウリンを定量する方法を確立するために、タウリン資化性細菌のタウリン脱水素酵素の酵素学的性質を明らかにし分析システムの基礎的な資料を提供しようとするものである。 「方法」(1)ハマグリからタウリン資化性細菌を分離し、同定した。(2)種々の培養条件について検討した。(3)菌体から酵素を抽出し、塩析、Sepharose CL6B、DEAE-Toyopearl 650M、Toyopearl HW55カラムクロマトグラフイーによりタウリン脱水素酵素を部分精製した。(4)得られた酵素について酵素化学的諸性状を調べた。(5)閉鎖反応系での酵素電極によるタウリン分析法について検討した。(6)酵素をろ紙に吸着固定し、酸素電極に組み込み連続反応系によるタウリンの測定条件を検討し、検量線を作成した。 「結果」(1)ハマグリから得られたタウリン資化性細菌のうち、最も酵素生産性の高い菌はVibrio natriegensであった。(2)温度30℃、pH7.0、タウリンの濃度1%、NaClの濃度2.5%が至適培養条件であった。(3)タウリン脱水素酵素の至適温度は25〜30℃、至適pHは8.5、分子量は非常に大きく、多量体ではないかと考えられる。40℃-60分加熱で50%活性が低下した。タウリンに対するKmは6.26×10^<-2>mol/lで、補酵素PMSに対するKmは6.53×10^<-4>mol/lであった。本酵素はCa^<2+>によって活性が促進され、それに対して、PCMB,glutathione disulfide,EDTA,Cu^<2+>,Zn^<2+>,Ag^+によって阻害された。DTTのような還元剤は安定性を増大させる。(4)固定化酵素によるタウリンの測定条件についてみると、温度25℃、pH8.5〜9.0、緩衝液の流速0.3ml/min、試料20μlを用いる場合の測定の範囲は2x10^<-8>〜8x10^<-7> molであった。
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