配分額 *注記 |
9,700千円 (直接経費: 9,700千円)
1995年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1994年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1993年度: 6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
|
研究概要 |
GVHDの免疫学的機序はすでに明らかにされており,問題はいかにしてこれらを特異的な方法でコントロールするかという点である.本研究では、活性化されたT細胞に特異的に作用し,活性化リンパ球系細胞のみを傷害する特異性の高い抗体(RE2抗体)を用いることによって,GVHDのコントロールを目指している. これまでの解析で,この抗体の作用条件,誘導する細胞死の形態等の基礎的データが得られている.1):Th細胞クローン,ConAあるいはLPSで刺激した脾細胞およびリンパ節細胞は,RE2抗体で補体非依存性に傷害されたが,胸腺細胞は傷害されなかった.RE2抗体のFab分画では細胞傷害は起きず,Fab分子を架橋して初めて誘導された.RE2抗体とクラスの同じRE1抗体ではこの様な細胞傷害は見られなかった.2):RE2抗体処理したTh細胞クローンを走査電顕で検索すると、細胞表面に大きいもので細胞の直径の四分の一にもおよぶ巨大な穿孔が観察された.透過電顕による観察では,アポプトーシスや壊死に認められる所見を欠き,また,DNAのフラグメンテーションも認められなかった.3):Th細胞クローンのcDNAライブラリーからRE2抗体を用いたSeedの方法で,1.8kbのクローンを得た.得られたクローンは報告されているマウスH-2Kk分子をコードする遺伝子と比較して,α1ドメンインに12個の核酸塩基の欠失が認められるが,α2およびα3ドメインは同一であり,マウスH-2Kk分子をコードする遺伝子であることが明らかになった.しかし,マウス系統を用いた解析では,RE2抗体の認識する抗原決定基がH-2Kkのみにはマップされなかったこと,β2マイクログロブリンと結合していることなどから,RE2抗体はH-2Kkを含む多種類のクラスI分子と反応していると考えられる.H-2Kk分子に対するマウスモノクローナル抗体ではRE2抗体で見られる様な細胞死を誘導できないことから,H-2Kk分子とエピトープを共有するか,クラスI分子と結合する未知の分子が,RE2の誘導する細胞死に関与すると考えられる.今後この分子の検索が重要と考える.
|