研究概要 |
1.X線CTデータを利用した不均一媒質吸収補正アルゴリズムの確立 (1)不均一媒質吸収補正アルゴリズムの構築:均一媒質に対するChangならびTanakaの方法を不均一媒質に拡張適用した場合のアルゴリズムと不均一媒質に対して提案されたSinghの方法によるアルゴリズムを構築し,これら3つの方法の有効性を計算機実験で比較検討した。3つの補正方法は,一次補正では十分満足な結果を与えなかったが,再投影を利用した二次補正では一回の補正の繰り返しで良好な結果をもたらすことがわかった。 (2)臨床応用上の問題:上の不均一媒質吸収補正アルゴリズムを臨床データに応用して,臨床応用における問題点を明らかにした。その1つは,XCT画像とSPECT画像の間の,画像内容と画像サイズの一致に関する問題であった。2番目の問題は,XCTから得られた線減弱係数データをSPECT光子エネルギーに対する線減弱係数データへと変換するときのXCT光子エネルギーの決定方法であった。この二つは,SPECT定量化における正確度を左右する要因となる。これらの問題が解決されると,臨床応用においても計算機実験から明らかなように,二次補正によって吸収を正確に補正することが可能になる。 2.散乱補正:XCTデータを利用して散乱を理論的に評価することを予定したが,これを個々のSPECT画像に適用するのは,散乱評価に要する時間の点で現実的ではなかった。複数のエネルギーウィンドウから得られた計測データから散乱線の寄与を評価し,それを補正に利用するのが正確な散乱補正を可能にする,実現性の高い方法であるとの結論に至った。これに対する研究が今後の課題である。
|