研究概要 |
1.カルボジイミドグループを有するビオチン誘導体の合成…カルボジイミド化合物はチミン(T)はグアニン(G)に結合することが知られており、これにビオチン誘導体を結合させることによりミスマッチDNAを発色により検出可能にした。そのために先ずカルボジイミドビオチン化合物(Carb〜Bi)を合成した。ついでカルボジイミドがT,Gに特異的に結合することを示すためにアデニン(A),シトシン(C)の一本鎖ホモポリマー、TあるいはGを一つ含む一本鎖オリゴマーを作成し、Carb〜Biを反応させたところ、TやGとは反応したが、AやCとは反応しないことがわかった。さらに二本鎖DNAについて検討した。制限酵素Hin fIによる切断により、つき出た末端Tをもつものを作成した。一方、Hae III切断により平滑末端をもつ化合物を準備した。その結果、末端がつき出た基質はCarb〜Biと反応し、平滑末端は反応しないことがわかった。ついで、一つのミスマッチを有する二本鎖DNAを用意した。そのために、一塩基のみがG-T或いはA-Cミスマッチを示す相補的な一本鎖DNAを各々M13ファージにクローン化した。各々のDNAのヘテロデュプレックスを形成させ、一つのミスマッチ部位を含む2本鎖DNA部位を切り出し、Carb〜Bi化合物を用いた発色反応を試みたところ、ミスマッチDNAとのみ強く反応し、完全な相補対DNAとは反応しないことがわかった。 2.一本鎖のDNAをCarb〜Biで標識し、サザン法のプローブとして利用する方法……カルボジイミドは一本鎖のTやGに結合する性質があるので、一本鎖プローブを標識し、先ず検出感度の検定を行なった。その結果、1pgでも発色により検出可能なことがわかった。そこで、次に標識プローブとして用いるべくハイブリダイゼーションによる感度検定を行なったところ、2pgでも検出できることが明らかとなった。 このようにCarb〜Biはミスマッチの検出とプローブの標識に利用できることが明らかとなった。
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