研究概要 |
本研究では,人間の思考は図や文章,式などを書くことによって育まれるとの認識に立ち,手書きを基本とする人間と計算機の対話方式を確立することを目的とした.3年間の研究によって,次に列挙する成果を得た. 1.手書きインタフェースの設計理念の提案 手書きインタフェースの設計理念として,発想段階で筆記しているユーザにとって筆記過程で発生する誤認識が人間の思考を中断させることから,認識処理の表示は必要になるまで遅らせる怠け認識(lazy recognition)を提唱し,いくつかの対象に適用した.さらに,その実現のために必要な技術開発を行った. 2.手書きインタフェースを採用したデスクトップ環境の設計と実現 文書作成などの創造作業を行うことを念頭に,手書きインタフェースによる計算機環境を設計・実現した. 3.オンライン手書き文字パタンデータベースの試験公開 ペン入力の実用化を考え,認識方式の研究に資するために,個人ごと,文章筆記,字体制限なし,などを特徴とするオンライン手書き文字パタンデータベースを作成し,80人分×12,000文字パタンを収集し,試験公開を開始した.共同利用の大規模オンライン手書き文字パタンの公開は我々が最初である. その他の主要な成果を項目だけ列挙する.4.ペンとマウスの操作性の比較評価.5.ペンの自由な形状による囲みに対する対象の包含判定高速アルゴリズムの実現.6.文房具メタファを操作する作図インタフェース.7.文房具メタファの自動位置合わせなどの調整機能の実現.8.手書き数式入力とその修正,整形のインタフェースの実現.9.仮名入力に対する仮名漢字変換の研究.10.ペンインタフェースによる動画作成.
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