配分額 *注記 |
7,500千円 (直接経費: 7,500千円)
1995年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1994年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1993年度: 4,300千円 (直接経費: 4,300千円)
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研究概要 |
タンパク質の接着技術を確立する上で要となるセメントインを遺伝子工学的に大腸菌に作らせる系を構築し,セメントインの性質を明らかにした。同様に,本研究を通して新たに発見した同族分子についても,大腸菌を利用した発現系とアフィニティークロマトグラフィーによる精製系を確立した。すなわち,セメントインとその同族分子のcDNAを発現ベクターpMAL-pに組み込み,大腸菌に導入し,マルトース結合タンパク質との融合タンパク質の形でペリプラズムに分泌されるようにした。これをアミロース・レジンを担体とするアフィニティーカラムにかけ精製した。精製標品にFactor Xa(プロテ-ゼ)を作用させて,不要なマルトース結合タンパク質部分を切断除去し,ヒドロキシアパタイト・カラムに通すことにより簡便かつ効率よく目的物を得る方法を開発した。このようにして得た産物は,予想通り触媒量のトランスグルタミナーゼによって非常に効率よく架橋され,優れたタンパク質接着能力を有することが確かめられた。精製標品に対する抗体も作製し,ウエスタン分析や免疫組織化学やラジオイムノアッセイの開発に応用した。その結果,セメントイン及びセメントイン様接着分子は生体中では細胞外マトリックスタンパク質に架橋されて存在すること、気管や腸の上皮細胞に多く発現しており,血中にも存在することが明らかになった。組織分布に関しては、RNaseプロテクションアッセイによっても気管や腸に多いことを確かめた。さらにヒトのある種の病態(Psoriasis,乾癬)では,セメントインが異常に発現し,皮膚等の結合組織の病気になることが判明した。以上の結果は、本研究対象である接着因子が基礎及び応用の両面に置いて,極めて重要な因子であることをよく物語っている。
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