研究課題/領域番号 |
05558117
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研究種目 |
試験研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
医用生体工学・生体材料学
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
岡野 光夫 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (00130237)
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研究分担者 |
千秋 和久 テルモ(株), 開発研究部, 研究員
鈴木 憲 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (90216375)
野尻 知里 テルモ(株), 医科学研究所, 主任研究員
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研究期間 (年度) |
1993 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
12,200千円 (直接経費: 12,200千円)
1995年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
1994年度: 4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
1993年度: 4,600千円 (直接経費: 4,600千円)
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キーワード | ブロック共重合体 / ミクロ相分離構造 / 細小人工血管 / タンパク質吸着層 / 抗血栓性 / 血小板 / cAMP / 細胞内遊離カルシウム濃度 / ミクロドメイン構造 / ブロックコポリマー / 抗血栓性材料 / 血小板活性化阻害 / 細胞内カルシウム |
研究概要 |
本研究の目的は、優れた抗血栓性を有する2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)とスチレン(St)からなるブロック共重合体を人工血管内面にコートし、材料表面と血液の界面に血栓を作ることなく長期に安定化させる新しいメカニズム基づく分子設計によって細小人工血管を開発することにある。設計論を明確にするために、ミクロドメイン構造表面の抗血栓性の発現メカニズムを解析した。材料表面と接触した血小板の細胞内遊離カルシュウム濃度変化を詳細に検討し、ミクロ相分離構造表面が血小板のカルシウム濃度の上昇をその接触によって抑え、活性化を抑制していることをHEMAとStの同一組成のランダム共重合体とそれぞれのホモポリマーと比較しながら明らかにした。さらに血小板内cAMP濃度がミクロ相分離構造表面と接触することにより上昇することを明きらかにし、血小板の材料表面との接触による活性化の抑制には、ただ単に、材料表面と血小板膜との物理化学的相互作用のみで規定されるのではなく、細胞内のcAMP代謝が関与していることを見いだした。ダクロンチューブの内面にポリウレタンをコートすることにより、縫い易さ、弾力性等の人工血管としての好ましい特性を損なわないようにミクロドメイン表面を最内層にコートした新しい細小人工血管の開発した。犬頚動脈への移植実験から、1年以上、内径3mmの人工血管が血栓形成することなく、開存することを明らかにした。人工血管の内面には単分子層の蛋白質層が形成されることが確認され、偽内膜形成によらず、単分子の蛋白層によって長期に血液-材料間の界面を安定させることが明らかになった。このメカニズムは従来の偽内膜形成型の人工血管と全く異なり、人工血管の血栓層による狭窄、偽内膜の剥離などの問題が起こらず、新しい細小径人工血管の長期使用を可能とするものである。
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