研究課題/領域番号 |
05610015
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
中国哲学
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
串田 久治 愛媛大学, 法文学部, 助教授 (70127223)
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研究期間 (年度) |
1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1993年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 謠(童謠・民謠・民歌・兒歌・語日) / 落書 / 三字句 / 〓惑星 / 予言 / 神託 / 揶揄 / 風刺 |
研究概要 |
『史記』『漢書』『後漢書』に記録される豊富な「謠」をひとつひとつ歴史事実に基づいて整理していくと、これまでの注釈では意味不明とされていた「謠」も真に意味する所が明らかになり、「謠」が中国古代社会思想史の深層を知る資料であることが再確認できた。今年度の研究では以下のような成果があった。 1.後漢桓帝期の「謠」を歴史事実に即して分析してひとつひとつの「謠」に隠されたメッセージを明らかにし、桓帝期の社会・政治の深層を論じた。また、テキストクリティークによって意味不明とされた「謠」の真相も明らかにされた(「桓帝期『童謠』の諸相」)。 2.これまでの「謠」に関する内外の研究を整理するとともに、「謠」研究の意義を明らかにした。また、後世「童謠」は〓惑星と結び付いて天の託宣(神託)としての性格を濃厚にするが、それは早くとも後漢末であること、両漢の「童謠」とは切り離して考えるべきであることを論じた(「中国古代『謠』の社会思想史的研究-その課題と研究史」)。 3.『史記』中の「淮南民歌」と「〓川兒歌」の内容がいずれも歴史事実と一致しないこと、そこには共通する人物武安侯田〓が隠されていること、それは司馬遷の武帝批判であることを論証し、『漢書』と比較しつつ「民歌」や「兒歌」も「謠」と同じ社会思想史的資料であることを明らかにした。(「『淮南民歌』と『〓川兒歌』に司馬遷が託すもの」)。 4.漢王朝の簒奪者王莽を謗る「謠」が全くないことを指摘し、その社会思想史的意味を問うた。すなわち、成帝期・王莽期・更始期の「謠」を分析することによって、実は王莽は当時の知識人から成帝に代わる期待された人物であったということを論じた(日本中国学会第45回大会における口頭発表)。なお、成帝期の「謠」については平成6年9月に公表される。王莽期の「謠」に関しては更に揚雄「劇秦美新」と併せて論ずる予定である。
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